中央競馬には右回りコースと左回りコースがあります。競走馬の中には左と右で成績が極端に偏っている馬が一定数存在します。競馬の世界では右回りが得意な馬は右利き、左回りが得意な馬はサウスポーと呼びますが、なぜ右利きとサウスポーが存在するのかと見分け方を解説します。
馬の走り方
犬や猫など四足歩行の哺乳類が走る時は、腰の柔軟性を活かし前後の足を揃えて飛ぶように走り推進力に変えます。
一方で馬は腰の柔軟性がほとんど無いため、走る時は四本の脚を一本ずつ蹴り出しながら走ります。この時馬は後ろ脚で推進力を生み、最初に振り上げる脚が左後脚であれば、
次に右後脚→左前脚→右前脚
といった順番となり、これを繰り返しながら走ります。

競馬用語の「手前」とは
手前とは最後に着地する前脚がどちらかを示す言葉です。スタート時に左後脚から走り出せば右手前、右後脚から走り出せば左手前です。
右手前の馬は右回り、左手前の馬は左回りが得意
馬は走行中に手前を変える
スタートの際に騎手の指示で任意の手前で走り出す馬もいますが、大多数は自分が好きな手前で先に走り出します。その際の左右の手前の割合はほぼ半々なので、人間と違い馬の左右の利きは同数と考えられています。
ただし同じ手前で走り続けると疲労が片側に偏るので、走行中に馬は自分で手前を自然に変えます。これを競馬用語で「手前を変える」と言います。
競馬新聞の厩舎コメントで「この馬は手前を変えるのがヘタ」というコメントが良く見られますが、実は勝ち負けに関わる重要なキーワードです。
競走馬はコーナーを曲がる時に手前を変える
レース中にスピードを維持したままコーナーを回ると遠心力が働くので、遠心力に抵抗するために体の重心を内側に傾けなければなりません。そのため競走馬は右回りは右手前に、左回りは左手前に変えてコーナーを曲がります。
もしコーナーを曲がる際に手前を変えないと遠心力に負けてスピードダウンするか、外側に大きく膨れて距離ロスをしてしまいます。つまりレースを進める上で大変不利です。
手前を変えるのが苦手な馬は一定数いる
ところがコーナーで手前を変えるのが苦手な馬が一定数存在します。その数は全体の1割程度と考えられています。また慢性的に片脚に痛みや欠陥がる馬は無意識にその脚をかばうため手前を変えるのが下手です。
これらの馬がコーナーを回ればスピードダウンしたり外に膨れたりするためレースの走破タイムは当然遅くなります。結果として勝ち負けできず惨敗です。逆に得意な手前の回りの競馬場なら自分の能力を十分に発揮できます。
以上が競走馬の中に極端な右利きとサウスポーが存在する理由です。前走不得手な回りで惨敗すれば当然人気が落ちるので、得意な回りに戻れば勝ち負けや高配当を期待できます。
各馬の手前は厩舎コメントやキャンターでチェック
その馬が右手前で走るか、左手前で走るかは厩舎コメントや、レース前のキャンター(駈歩)で分かります。厩舎コメントで「この馬は右手前で走る」と言っている馬が左回りのコースに出走している場合は注意が必要です。

またレースで本馬場に入場後にゲートまでの準備運動としてキャンターを行います。この時、走り出す前脚のどちらが後かで手前が分かります。後に着地した前脚が手前なので、右前脚なら右手前で右回りが得意、左前脚なら左手前なので左回りが得意です。
キャンターの動きはゆっくりしているので素人でも見て分かります。
まとめ
実際に左右の手前を替えるヘタな馬は全体の1割程度しかいません。しかし0.1秒差が勝敗を分ける競馬では、馬の優劣を決める手掛かりになるのでにぜひ勝馬検討の参考にしてください。
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