ジャスタウェイは強烈な末脚を武器にドバイデューティーフリーを制し、世界単独1位にも輝いた名馬。種牡馬となってもクラッシクを賑わず産駒を輩出しています。
ジャスタウェイ産駒の距離適性やコース適性を知るには、ジャスタウェイの現役時代の特徴や血統構成、産駒の共通性を知るのが何より重要。種牡馬ジャスタウェイの特徴を知ると勝ち馬や穴馬、人気でも惨敗の可能性を予想できるので、ぜひ馬券の検討にお役立てください。
種牡馬ジャスタウェイとジャスタウェイ産駒の特徴を紹介
ジャスタウェイの現役時代の成績
戦績
22戦6勝2着6回(内、海外2戦1勝)
G1及び重賞勝利
G1: 天皇賞秋、ドバイデューティーフリー、 安田記念
G2: 中山記念
G3: アーリントンカップ
特記事項
2014年度JRA最優秀4歳以上牡馬
2014年度国際クラシフィケイション130ポンド(単独1位)
ジャスタウェイの現役時代の特徴
ジャスタウェイは新馬戦時代から強烈な末脚が武器の競走馬。全22戦中16戦がメンバー中3番手以内の上がりを繰り出し、12戦が上がり最速。坂や重馬場も苦にしない力強さがありました。
ジャスタウェイは新潟の新馬戦から上がり32.6秒を繰り出し2着に0.8秒差と素質を見せつけ快勝。素質の片鱗を見せます。ただ、まだ体自できておらず腰が甘く緩い状態。続く1番人気で臨んだ新潟2歳ステークスでは1着馬に0.1秒届かず惜敗します。
後に東京スポーツ杯やきさらぎ賞でクラシック候補生だったディープブリランテやワールドエースと対戦も、この時点では歯が立たず惨敗。クラシックとは縁のないメンバー手薄のアーリントンカップで重賞初制覇。NHKマイルカップからダービーの変則2冠を目指します。
しかしNHKマイルカップでは上がり最速も逃げたカレンブラックヒルに0.8秒差を付けられ惨敗。続くダービーでもディープブリランテに1秒差を付けられ11着と大敗します。この敗戦で三冠目の菊花賞は諦め、秋は古馬中距離路線への参戦が決定します。
秋初戦のG2毎日王冠で12番人気も上がり最速で2着を確保。続く天皇賞では歴戦の古馬相手に0.5秒差6着。以後も古馬重賞路線を走りますが腰の甘さは解消せず、イマイチな成績を続けます。本格化は馬の成長がピークを迎え、腰の甘さが解消した4歳夏から。
エプソムカップ、関屋記念、毎日王冠と直線の長いコースで全て上がり最速を繰り出し3連続2着。本番の天皇賞では勝ちきれない成績から5番人気でしたが、最速の上がりを繰り出し2着に0.7秒差を付け快勝します。これでドバイを目指すことが本格化、残りのシーズンを休養に当てます。
5歳初戦の中山記念1着を叩き台に、本番のドバイデューティーフリーで南アフリカの無敗馬で前のドバイG1ジュベルハッタを優勝した2着ウェルキンゲトリクスに0.7秒差を付けて優勝。これが評価され国際クラシフィケイションから130ポンドが与えられます。
帰国後の安田記念も不良馬場をものともせず上がり最速を繰り出し2着グランプリボスに鼻差勝利。重賞4連勝を飾ります。
秋は同厩舎のゴールドシップと凱旋門賞に参戦し、3番人気も8着と振るわぬ結果に。帰国後のジャパンカップでは2着確保も勝ち馬のエピファネイアには0.7秒差を付けられます。
引退を表明した有馬記念では直線の短い中山で最速の上がり33.4秒を繰り出し0.2秒差4着と意地を見せます。このレースは2:35:5と例年の有馬記念から比べるとスロースで、ファンの間で今でも「福永仕掛け遅すぎ、負けは福永のせい」と揶揄されます。
ジャスタウェイ(サンデーサイレンス系)の血統上の特徴
ハーツクライ | サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | ||
アイリッシュダンス | トニービン | |
ビューパーダンス | ||
シビル | Wild Again | Icecapade |
Bushel-n-Peck | ||
シャロン | Mo Exception | |
Double Wiggle |
ジャスタウェイの父は中距離以上で上質な産駒を輩出するハーツクライ。ハーツクライもドバイシーマクラッシックを勝っており、さらに産駒にダービー馬のワンアンドオンリー、ジャパンカップ馬のシヴァルブランなど大レースに強い種牡馬です。
ハーツクライも末脚が強烈な馬で、脚が長く大飛び。ハーツクライの父のサンデーサイレンスも曲飛節で、ハーツクライもこの曲飛節を受け継いだ格好。さらにハーツクライは腰が緩く歩様はフワフワした感じで、本格化も腰がパンとた4歳春以降です。
ジャスタウェイも後ろ脚が外向きの曲飛球で、やはり若駒の時は腰が緩いというハーツクライの特性を受け継いでいます。ジャスタウェイの本格化も4歳夏からなので、ジャスタウェイの特性を受け継ぐと、産駒は基本晩成型と考えられます。
ジャスタウェイの母の父は米国ダートG1ブリダーズカップ・クラシックとダート2000mのG1メドーランズカップを制したワイルドアゲイン。日本で一時期繋養され芝中距離重賞を3勝したナリタキングオーを輩出しましたが、良質な産駒はダートに偏ります。
曲飛節気味の脚の馬は力が要る重馬場やダートは基本苦手。脚が曲がっているジャスタウェイが重馬場でも強烈な末脚を繰り出せたのは、力のあるダート馬であるワイルドアゲインの血の影響と考えらます。
ジャスタウェイは日本の牝馬にも多いサンデーサイレンス系ですが、他に日本に多いミスタープロスペクター系は無く、ノーザンダンサーの血も5代先と薄いため、非サンデーサイレンス系であれば種付けしやすい特徴があります。
ジャスタウェイの産駒の特徴
ジャスタウェイの国際クラシフィケイション単独1位という称号と、強烈な末脚の印象から初年度から220頭もの繁殖牝馬を集めています。ただ受胎率があまり良くなく実際の生産はその2/3程度。以後種付け頭数が減っていました。
しかし初年度産駒のドマイヤジャスタホープフルステークスで2着、ヴェロックスが皐月賞2着、ダービー、菊花賞3着と活躍したことから生産者の間で人気が再燃。ただ初年度産駒からクラッシック路線で重賞勝ち馬は出ていません。
これはハーツクライ~ジャスタウェイと腰が緩い体質が産駒に受け継がれるためと思われます。もっともこの状態でもG1で接戦する産駒が初年度から出ているので、条件さえそろえばクラッシクの勝ち馬が出る可能性は十分あります。
ジャスタウェイの初年度産駒の初重賞勝ちが阪神チャンピオンカップを制したロードマイウェイと、全体的にジャスタウェイ産駒は父と同様に成長は遅めと判断できます。
芝の距離別勝利律と複勝率
距離(芝) | ~1400m | ~1800m | ~2200m | ~2600m | 2600m以上 | |||||
種牡馬名 | 勝率 | 複勝率 | 勝率 | 複勝率 | 勝率 | 複勝率 | 勝率 | 複勝率 | 勝率 | 複勝率 |
ハーツクライ | 0.084 | 0.256 | 0.094 | 0.265 | 0.096 | 0.301 | 0.109 | 0.314 | 0.077 | 0.333 |
ジャスタウェイ | 0.110 | 0.262 | 0.096 | 0.277 | 0.094 | 0.286 | 0.086 | 0.371 | 0.000 | 0.333 |
芝コースではジャスタウェイの父ハーツクライ産駒はマイル以上から距離が伸びれば伸びるほど成績が向上します。一方でジャスタウェイ産駒は短距離から長距離まで平均して走ります。これはジャスタウェイの距離適性が母系に拠るためと考えられます。
ダートの距離別勝率と複勝率
距離(ダート) | ~1400m | ~1800m | ~2200m | |||
種牡馬名 | 勝率 | 複勝率 | 勝率 | 複勝率 | 勝率 | 複勝率 |
ジャスタウェイ | 0.049 | 0.107 | 0.058 | 0.226 | 0.211 | 0.263 |
ジャスタウェイ産駒が腰が甘いのが多いためか、ダートはスタートダッシュが必要な短距離は苦手。成長で腰が固まるとそれなりに走るようで、マイル以上で良績が集中。これはダートに強い母の父のワイルドアゲインの血が濃く出た産駒と判断できます。
ジャスタウェイの良質の産駒は基本的に大飛びで末脚勝負型。直線の長いコースで能力を発揮します。2018年デビュー組が初産駒なので、父と同様に古馬になって重量路線で活躍する産駒が増えると思われます。
もちろん、上記の内容はジャスタウェイの種牡馬3年目までのデータを基にしているので、今後データやサンプル量が増えれば判断が変わる可能性があります。
ジャスタウェイの代表産駒
2020年にダノンザキッドがホープフルステークスを優勝しG1初制覇。
他に3冠レースで全て馬券に絡んだヴェロックス、G1ホープフルステークスで2着したアドマイヤジャスタなど。
コメント
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