馬券は競馬新聞の「印」で買ってはいけない理由

競馬の基礎知識

競馬新聞の予想欄にある印の意味

競馬の初心者は、競馬新聞の番組表にある予想欄の印で買い目を判断する方がほとんど。自分もかつてはそうでした。この印は予想欄に並ぶ姿から俗に「だんご」と呼ばれます。

この印の数が多い馬ほど予想陣に評価が高く、好走する可能性があると考えられます。「だんご」印の形は新聞各社で多少異なりますが、おおむね以下の通り。

◎      本命…1着になる可能性がある。少なくとも2着は外さないだろうと思われる馬
〇      対抗…本命の馬を負かせる可能性があるが、総合的に本命より力が劣る馬。
▲      単穴…条件が揃えば本命・対抗を負かす実力がある馬。いわゆる三番手。
△or✖  連下…1着にはならないが、馬券になる2着・3着なら可能性がある馬。

競馬の予想陣は長年競馬の世界で取材や経験、独自の論理に基づいて印を付けているで初心者には一見頼れる存在に見え、ついつい印通りに馬券を買ってしまいます。また競馬を単に丁半博打と考えている人は大抵この印を目安に馬券を買います。

そのためオッズも競馬新聞の予想欄で印が多い馬順に推移します。

印で馬券が当たれば苦労はしない

しかし、予想陣の印通りに馬券を買って当たるなら誰でも簡単に大金持ち、苦労はしません。ところが私たちが夢見る「万馬券」は、予想欄に印がない馬が好走して発生します。しかも大抵のレースは予想欄で印の少ない馬が好走しているのが現実です。

あくまでも予想欄の印はレースの予想を盛り立てるエンターテイメント。新聞社の予想陣も自分の予想が全て当たるなら、新聞社に勤めず馬券だけで食っていけるはずです。だから馬券を当てたければ、予想欄の印で馬券を買ってはいけません。

強い馬が勝つとは限らないのが競馬

競馬は強い馬が必ず勝つわけではありません。もし強い馬が100回走って100回勝つなら、万馬券など出ません。

走れば絶対勝つと思わせる馬は、平成年間ではディープインパクトぐらいしか思い浮かびません。そのディープインパクトでさえ、3歳時に有馬記念でハーツクライに出し抜け喰らって負けています。

前走強い勝ち方をしても、次のレースで凡走は良くあること。むしろ、その方が圧倒的に多いのが競馬です。なぜなら、前走と今回のレースでは出走馬も各種条件も違うのですから。

大抵の予想欄の印は、前走や近走の成績を加味して付けられます。前走で好走して人気になっていても、まずは疑いの目で見る必要があります。

競馬の予想は競馬新聞に載っているデータを駆使すべし

そこで頼りになるのが、競馬新聞の載っている各種データです。データをもとに1番人気を消去できるようになると、穴馬券が的中率も飛躍的に高まります。
競馬新聞の番組表にはレースを予想するために様々なデータが載っています。出走する馬の過去の成績、調教時計、血統、騎手、厩舎のコメント、該当レースの過去の優勝馬などなど。

初心者はこれらのデータをどのように活かすのか良くわからないでしょう。実際に競馬歴が長い人でも、データによっては使い方が分からない人が大半です。しかし各データや情報の見方が理解できればレースの傾向を加味して好走しない馬を消去でるようになります。

競馬予想は検討材料が多い

該当レースを予想では、様々な角度から出走馬の優劣やレース展開を考えなければなりません。
競馬予想に必要な情報は主に以下の通りです。

  • 馬の個性(適正距離・芝向きか、ダートむきか・右利きか、左利きなど)
  • 馬の血統背景
  • 馬の調教状態
  • 出走ローテーション
  • 出走する競馬場の状態
  • 厩舎の思惑
  • 騎手の乗り替わり

など。

実はこれ以外にも様々な判断基準があり、競馬の予想を複雑にします。しかしこれらの要素を使い分け出走する馬の状態を的確に理解できると、独自の予想が可能です。当然、競馬の楽しみがより深まり、的中率も格段に高まります。
では、これらの要素がどのようなものか簡単に紹介しましょう。

馬は個性がある

人に個性があるように、馬にも個性があります。

たとえば「あの人はスポーツが得意」といっても、競技により得手不得手はあります。陸上競技でも短距離が得意な人がいれば、長距離が得意な選手もいます。短距離選手が長距離選手にマラソンで勝てないのと同じで、馬も距離により得手不得手があります。

コースには芝とダートコースがあり、芝を得意とする馬、ダートを得意とする馬に分かれます。また人に右利き・左利きがあるように、馬にも右利き・左利きがいます。競馬新聞のデータを精査すると馬によっては特定の距離や馬場で好走と凡走を繰り返していることが分かります。

前走代惨敗していても負けた理由がハッキリし、好走する条件がデータ上揃っていれば次のレースで激走も少なくありません。

馬の血統背景で馬の個性がある程度分かる

競馬は「ブラッド・スポーツ」を呼ばれるほど血統が馬の個性に深く関与しています。人が人種で体格や特徴が違うように、馬も血統で得意な距離やコース、走り方、性格が違います。

父を指す種牡馬と母を指す肌馬が競走馬時代にどんなレースでどんな走り方をしていたかで子供もその個性が色濃く反映します。そのため馬の実力差が判断できない新馬戦では、血統を基準に判断することが良くあります。

ただし人に隔世遺伝があるように、馬にも隔世遺伝が存在します。父と母の血統のどの馬の血の影響を受けているか、素人では見た目だけで判断できません。しかし細かく馬体をチェックしたり、馬がレースを重ねるとどの血の影響が色濃く出ているか判断できます。

調教や出走ローテーションで馬の状態が分かる

馬も人間と同じ生物です。どんなに実力馬でも、疲労が蓄積すればベストパフォーマンスは望めません。そのためG1を圧勝した馬でも、見えない疲労が蓄積していれば格下相手でも凡走します。

また、疲労が蓄積し長い休養に入ると、その間に馬の体が鈍ります。休養明けでもいきなりポン駆けする馬もいますが、強い馬でも長期休養明けは調子が戻り切らず凡走する確率が高まります。

これを見分けるには競馬の番組表で出走のローテーションを見たり、調教でどんな走り方をしているかを確認したりすると判断できます。

競馬場の状態でレース展開が異なる

中央競馬では全部で10か所の競馬場があり、それぞれのコース形態が異なります。競馬場が異なると同じ芝1600mでもコースの形や芝の状態も違うので、ある競馬で好走しても別の競馬場で凡走する馬も多くいます。

また、季節や天候で芝やダートの馬場状態が変わるので、それに合わせてレース展開を考えなければなりません。

厩舎も思惑がある

馬の出走は基本的に厩舎の調教師が決めます。

出走させる以上、競馬法に抵触するため勝利を目指すのを建前としています。しかし厩舎の思惑により出走させる馬が必ずしもそのレースを勝ちに来ているとは限りません。

狙っているレースの布石として、仕上がり途上で馬を出走させることは良くあります。また成績が頭打ちの馬の現状打開策のため、試しに今までと違った条件に出走させることもあります。

さらに厩舎も馬主の意向には逆らえないので、馬の能力や個性からが考えれば不向きなレースでも出走させなければなりません。このような馬の場合は好走する確率は低いと言えるでしょう。これらの情報は、競馬新聞の厩舎のコメントなどで分かる場合があります。

騎手の乗り替わりの有無で馬の優劣が分かる

競馬の騎手の世界は実力本位です。

成績の良いリーディング上位の騎手には強い馬が集まり、逆に成績が悪いリーディング下位の騎手は自分が騎乗する馬の確保もままなりません。

トップリーディングの騎手は「お手馬」と呼ばれる専属で騎乗する馬がいくつもあり、常に騎乗しているだけその馬の能力や癖を熟知しています。そのため有力騎手の中にはG1レースで複数の「お手馬」が出走するので、その騎手がどの馬を選択したかで勝つ確率が高い馬が分かります。

リーディング下位の騎手で馬券になる場合

一方で成績が下位の騎手の場合、プロである以上レースで乗る馬が確保できないと収入になりません。そのような騎手は調教で騎乗する調教手当で収入を確保します。もちろんプロなので調教助手より騎乗技術が高く、多くの馬を騎乗している分、馬の能力を把握する力も長けています。

下級条件で成績が悪い馬を調教しその馬の癖を見抜いてレースに勝つと、厩舎の信頼を得て引き続き騎乗せてもらえる確率が高まります。

重賞で他の出走馬より能力的にやや劣る馬に成績下位の騎手が騎乗していても、長く調教で乗りお互いを熟知している同士ならレースで穴をあけることも珍しくありません。これも番組表で連続騎乗してか、あるいは調教欄で騎手が騎乗して調教をつけているかを見ると分かります。

馬と騎手には相性がある

リーディング上位の騎手が騎乗して凡走する馬でも、能力的にニ、三番手の騎手が乗り替わりで騎乗し息さえ合えば好走することも珍しくはありません。

まとめ

以上のように競馬の予想で検討すべき事項はたくさんあります。

競馬は競馬場により最大18頭まで出走するので、これらのデータをレースごとに使い分ければ馬券に絡みそうな有力馬を5~6頭くらいまでに絞り込めます。買い目が減れば、自ずと的中率も高まります。もちろん予想欄に印が無い馬でも自信をもって買え、万馬券も夢ではありません!!

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