競馬の脚質は「逃げ」「先行」「差し」「追い込み」の4種類がありますが、それぞれそのような場面で馬券に絡む確率が上がるのでしょうか。ここではそれぞれの脚質が馬券に絡みやすい条件やその理由について解説します。
脚質とペースの関係
競走馬がトップスピードを保てるのは800m
競走馬がトップスピードを保てるのはせいぜい800mです。人間も極限のダッシュをすると途中で筋肉が酸欠状態になり、最後は筋肉が硬直して自分の意思では動かせなくなります。競走馬もトップスピードを持続すると筋肉が酸欠状態を起こし、途中で脚が止まります。それがレースの脚質や展開に影響します。
一方、中央競馬では最短のレースでも走破距離は1000mです。そのためゴールまで一息でダッシュはできず、どこかで息を入れ筋肉に酸素を補給しなければなりません。
逃げ・先行馬は前半に飛ばしてレース中盤に息を入れ、ゴールまで筋肉が硬直して脚が止まらないように息を持たせようとします。逆に差し・追い込み馬は筋肉が酸欠を起こさないように前半はペースを緩め、ゴール手前800~600mでトップスピードに持っていきます。
ゴール前で逃げ・先行馬が止まる、差し・追い込み馬が前に届かない理由
逃げ・先行馬がハイペースで飛ばすと、途中で息を入れなければ酸欠状態になり失速します。この場合はスタミナを温存できる差し馬や追い込み馬がゴール前で台頭します。
一方で前を走る馬が途中でスローペースに落として息が入るとスタミナが温存されてゴールまで速い脚が保てるので、差し馬や追い込み馬は前を走る馬を捉えられません。
これらの性質を理解した上でそれぞれの脚質を知ると、レース展開を読めるようになります。
逃げ・先行馬と差し馬・追い込み馬の買い方
レースを前方で進める逃げ・先行と馬と、後方で進める差し・追い込み馬とではコースやレース展開で有利・不利があります。もちろん実力があれば不利な条件を跳ね除けられるので絶対ではありません。ここでは一般的な傾向を挙げて説明します。
下級条件だと逃げ、先行の勝率が高く、上級条件だと五分五分
新馬戦や未勝利戦、1勝クラスなど、下級条件ほど個々の馬の能力差がはっきり出ます。そのため能力の高い馬がスピードの絶対値で先行してそのまま押し切ってしまうため、逃げ馬、先行馬の勝率が高くります。
一方、2勝、3勝クラスと条件が上がるごとに個々の馬のスピード能力に差が無くなるので、逃げ・先行と差し・追い込みの勝率は五分五分になります。
直線が短い小回りコースは逃げ・先行馬が有利
ゴール前の直線が短い小回りコースでは、逃げ・先行馬が有利です。差し馬や追い込み馬が直線でトップスピードまで加速するには時間を要するため、直線が短いコースだと先に逃げ・先行馬がゴールを駆け抜けてしまう確率が高くなります。
中央競馬では中山・札幌・函館・福島・小倉が小回りで直線が短いコースです。
直線が長い大回りのコースは差し・追い込み馬が有利
ゴール前の直線が長い大回りのコースだと、差し・追い込み馬が有利になります。直線が長いと前半でスタミナをロスしている逃げ・先行馬がゴールまでトップスピードを維持することが難しく、スタミナを温存していた差し・追い込み馬が逃げ・先行馬を交わしてゴールする確率が高くなります。
中央競馬では東京・京都・阪神・中京・新潟が大回りで直線が長いコースです。
短距離では逃げ・先行馬が有利
全体的にペースの緩急が少ない短距離では、スタートで出遅れると前に追いつけず致命傷となります。逃げ・先行馬はスタートダッシュに秀でた優れた馬が多く、全体のペース次第ではそのままなだれ込んでゴールすることが多いので有利に働きます。
開幕週の芝コースは逃げ・先行馬が有利
開幕週の芝コースは芝が均一に揃っているため内・外の差はなく、最短距離を走れる逃げ、先行馬が有利です。また芝が整っていると軽い力でも強い推進力が生まれるのでスタミナのロスが少なく、スピードを持続させながらゴールまで雪崩れ込めます。
一方、差し・追い込み馬の場合は直線に入る際に外を回さざるを得ず、その分走行距離が長くなり不利です。また開幕週では逃げ・先行馬もゴール前直線でスタミナが残っていることが多く、前を捉え切れずに終わる確率が高くなります。
開催が進んだ芝コースは差し・追い込み馬が有利
開幕が進むと馬の蹄鉄で芝コースの内ラチ側が荒れて剥げてきます。芝が剥げると力強く踏み込まなければ推進力が生まれず、スタミナのロスが多くなります。逃げ、先行馬は道中芝が荒れた内ラチを通るのでるのでスタミナのロスが大きく、最後の直線で失速する確率が高くなります。
一方、差し馬や追い込み馬は道中芝が荒れていないきれいな場所を走れるのでスタミナのロスが少なくて済みます。また直線も芝が荒れていない外目を走れるのでトップスピードに乗りやすく、荒れた芝の上を走ってスタミナロスした逃げ、先行馬を捉える確率が格段に上がります。
冬の乾燥したダートは逃げ・先行馬が有利
冬のダートは砂がパサパサに乾燥し、いつも以上にパワーが必要です。ダートコースを周回すると体力を温存しているはずの後方待機の馬まで最後の直線まででバテてしまい、そのまま雪崩れ込んでゴールも珍しくありません。この場合は終始前方を走っている逃げ・先行馬に有利に働きます。
脚質で大穴をあけるパターン
前走大敗して人気薄の逃げ馬
逃げ馬が大差で大敗すると、その次のレースでは大抵人気が落ちます。人気はある程度実力と直結するので、前走大敗で人気薄になると「そのうちまたバテるだろう」と他の騎手も油断して逃げ馬のマークを怠ることがあります。しかし逃げ馬は自分のペースで楽に走れるのでゴールまで余力が生まれ、そのまま逃げ切きって大穴を開ける結果になります。
超ハイペースになったレースの人気薄の追い込み馬
逃げ・先行馬が多く揃い互いに競り合ってハイペースになると、直線で逃げ・先行馬のスタミナが切れ差し・追い込み馬有利の展開になります。また逃げ・先行馬で有力馬が複数いると、それをマークしていた差し馬もハイペースに巻き込まれスタミナロスしゴール手前で失速します。
一方で追い込み馬は自分のペースを守り終始直線勝負に掛けています。総崩れとなった先行馬、ハイペースに巻き込まれた差し馬を尻目に、実力がなくとも追い込みが決まり大穴を開ける場合があります。
まとめ
馬はそれぞれ脚質が違い、レースごとにどのような脚質の馬が多く出走しているかによってレースの流れが決まります。厩舎や騎手が競走馬の脚質をどのように活かそうとしているのか、個別に考えらえると馬券に絡む馬が見えてくるので、馬券購入の参考にしてください。
コメント