種牡馬ゴールドシップと産駒の特徴を紹介
ゴールドシップの現役時代の成績
戦績
28戦13勝2着3回3着2回
G1及び重賞勝利
G1:皐月賞、菊花賞、有馬記念、宝塚記念2勝、天皇賞春
G2:神戸新聞杯、阪神大賞典3連覇
G3:共同通信杯
特記事項
2012年JRA最優秀3歳牡馬
ゴールドシップの現役時代の特徴

ゴールドシップは3コーナー過ぎからロングスパートを掛け、他馬をごぼう抜きにする豪快な追い込みが特徴。2歳夏の函館・札幌で新馬・オープンを連勝、札幌2歳ステークスでは優勝馬に0.1秒差2着と早い時期から活躍。その後もラジオNIKKEI杯2着、共同通信杯優勝、本番の皐月賞では4番人気。
レースは最後方から追走で、他馬が前日の雨で荒れた内ラチを避ける中、空いた内ラチを1頭だけ強襲。17頭をごぼう抜きし、最後は2着に2馬身1/2差を付けて優勝しています。続くダービーでは2番人気、メンバー中最速の上り33.8秒を繰り出しながら、届かず0.2秒差の5着に敗れています。
3歳秋は神戸新聞杯から菊花賞、有馬記念を3連勝し、2013年のJRA最優秀3歳牡馬に輝いています。明け4歳の阪神大賞典を優勝。ただしこの頃から生来の「我の強さ」で制御し難くなり、レースの勝ち負けは「ゴールドシップの気分次第」。
天皇賞春では圧倒的な1番人気も5着敗退。続く宝塚記念では今までのレースとは一転して4番手追走で圧勝。秋初戦の京都大賞典は格下相手に5着、ジャパンカップでは2番人気も15着に惨敗。オルフェーヴルの引退レースとなった有馬記念では2番人気に推されましたが、オルフェーヴルから1.5秒離され、2着ウィンバリアシオンにも届かず3着とふがいない競馬。
5歳は阪神大賞典を圧勝するも、続く天皇賞春では昨年優勝したフェノーメノにレース前から「吠えて」威嚇。それが災いして最後の直線で伸びを欠き7着。フェノーメノがいなかった続く宝塚記念は、昨年と同様に気分よく走り連覇。凱旋門賞への挑戦が決まります。
前哨戦の札幌記念では同じ凱旋門賞挑戦が決まっているハープスターに2着惜敗。凱旋門賞では他にジャスタウェイが参戦しましたが、全く見せ場なく日本馬の中ではドンケツの15着に敗退しています。
帰国の後の有馬記念では1番に気も、引退レースだったジェンティルドンナに0.1秒差、2着トゥザワールドにハナ差届かず3着に敗れています。
翌年はメンバーが手薄なAJCCから始動し圧倒的な1番にも反応が鈍く7着敗退。続く阪神大賞典で同一重賞3連覇を達成。その勢いで臨んだ天皇賞春ではゲート入りを嫌がり、スタートが4分遅れ。目隠しでのゲート入りし、3度目の挑戦で優勝を飾ります。
同一G1・3連覇の偉業を狙った宝塚記念では単勝1.9倍の1番人気も、ゲートで隣に入ったトーホージャッカルを「威嚇」し大暴れ。ゲートが空いた瞬間に立ち上がってしまったため、大幅な出遅れを喫し15着に敗退。
秋初戦のジャパンカップは2番人気も10着。引退レースとなった有馬記念では3コーナー手前から早め進出でファンの期待を集めましたが、4コーナーを過ぎで手ごたえが怪しくなり、馬群に飲み込まれる形で8着に敗れています。
ゴールドシップの身体的特徴

ゴールドシップは父ステイゴールドと同様に筋肉が柔らかく、特につなぎが緩いという身体的な特徴があります。ゴールドシップが追い込み脚質になったのは、このつなぎの緩さが原因でダッシュが付かないため。
逆に筋肉が強靭で柔らかいので道中スタミナロスの少ない大きなスライドで走れ、ロングスパートが持続します。
ゴールドシップの血統上の特徴
| ステイゴールド | サンデーサイレンス | Halo | Hail to Reason | Turn-to |
| Nothirdchance | ||||
| Cosmah | Cosmic Bomb | |||
| Almahmoud | ||||
| Wishing Well | Understanding | Promised Land | ||
| Pretty Ways | ||||
| Mountain Flower | Montparnasse | |||
| Edelweiss | ||||
| ゴールデンサッシュ | ディクタス | Sanctus | Fine Top | |
| Sanelta | ||||
| Doronic | Worden | |||
| Dulzetta | ||||
| ダイナサッシュ | ノーザンテースト | Northern Dancer | ||
| Lady Victoria | ||||
| ロイヤルサッシュ | Princely Gift | |||
| Sash of Honour | ||||
| ポイントフラッグ | メジロマックイーン | メジロティターン | メジロアサマ | パーソロン |
| スヰート | ||||
| シエリル | スノッブ | |||
| Chanel | ||||
| メジロオーロラ | リマンド | Alcide | ||
| Admonish | ||||
| メジロアイリス | ヒンドスタン | |||
| アサマユリ | ||||
| パストラリズム | プルラリズム | The Minstrel | Northern Dancer | |
| Fleur | ||||
| Cambretta | Roberto | |||
| Cambrienne | ||||
| トクノエイティー | トライバルチーフ | Princely Gift | ||
| Mwanza | ||||
| アイアンルビー | ラークスパー | |||
| 風玲 |
父ステイゴールド、母の父メジロマックイーンはオルフェーヴルと同じでニックスの構成。ステイゴールドから柔らかい筋肉と気性の悪さ(我の強さ)、母の父メジロマックイーンから心肺機能の高さを受け継いでいます。
母ポイントフラッグはチューリップ賞で2着した程度で競走馬としてはさほど活躍していませんが、母系を遡ると日本の競走馬の基礎牝系にあたる皇室所有の下総御料牧場が米国から輸入した星旗にたどり着く、日本土着の牝系。
この牝系からダービー馬のクモハタ、桜花賞馬ハマカゼ、ダービー・天皇賞秋・有馬記念勝ちハクチカラ、菊花賞馬ニホンピロムーテーが出ています。
血統が似ているオルフェーヴルと異なり筋肉質になりがちなノーザンテーストの血が薄く、より父ステイゴールドの筋肉の柔らかさを伝えやすい血統構成。ゴールドシップのパワーは柔らかくしなやかな肌肉から繰り出されるものなので、ダート向きのパワーではないこととは留意。
また父ステイゴールドの我の強さをゴールドシップも強く受け継いでいることからも、ゴールドシップ産駒でよく走る馬は古馬になってから気性難が出る可能性があります。
参考 オルフェーヴルの血統
| ステイゴールド | サンデーサイレンス | Halo | Hail to Reason | Turn-to |
| Nothirdchance | ||||
| Cosmah | Cosmic Bomb | |||
| Almahmoud | ||||
| Wishing Well | Understanding | Promised Land | ||
| Pretty Ways | ||||
| Mountain Flower | Montparnasse | |||
| Edelweiss | ||||
| ゴールデンサッシュ | ディクタス | Sanctus | Fine Top | |
| Sanelta | ||||
| Doronic | Worden | |||
| Dulzetta | ||||
| ダイナサッシュ | ノーザンテースト | Northern Dancer | ||
| Lady Victoria | ||||
| ロイヤルサッシュ | Princely Gift | |||
| Sash of Honour | ||||
| オリエンタルアート | メジロマックイーン | メジロティターン | メジロアサマ | パーソロン |
| スヰート | ||||
| シエリル | スノッブ | |||
| Chanel | ||||
| メジロオーロラ | リマンド | Alcide | ||
| Admonish | ||||
| メジロアイリス | ヒンドスタン | |||
| アサマユリ | ||||
| エレクトロアート | ノーザンテースト | Northern Dancer | Nearctic | |
| Natalma | ||||
| Lady Victoria | Victoria Park | |||
| Lady Angela | ||||
| グランマスティーヴンス | Lt. Stevens | Nantallah | ||
| Rough Shod | ||||
| Dhow | Bronze Babu | |||
| Coastal Trade |
ゴールドシップ産駒の特徴
| 距離 | ~1400m | ~1800m | ~2200m | ~2600m | 2600以上 | 総合 | ||||||
| 勝率 | 複勝率 | 勝率 | 複勝率 | 勝率 | 複勝率 | 勝率 | 複勝率 | 勝率 | 複勝率 | 勝率 | 複勝率 | |
| 芝 | 0.075 | 0.358 | 0.071 | 0.275 | 0.073 | 0.228 | 0.097 | 0.344 | 0.000 | 0.000 | 0.075 | 0.269 |
| ダート | 0.065 | 0.129 | 0.058 | 0.154 | 0.143 | 0.214 | 0.143 | 0.286 | 0.000 | 0.000 | 0.071 | 0.160 |
2021年8月現在の集計
父と同様につなぎが緩く、スタートダッシュが苦手な産駒が多いのが特徴。ゴールドシップの血が濃く出ると、大抵差し、追い込み馬。ただし筋肉の柔らかさとパワーも引き継ぐため、直線が長いコースや坂のあるコース、時計の掛かる洋芝で活躍します。父と同じく2歳の札幌や函館では良く走ります。
一方で平坦で軽い馬場での競馬は相対的に苦手。またつなぎが緩いのでダートはほとんど走りません。
心肺機能が良いので、産駒の平均走破距離が平均2000mと現役種牡馬の中では1,2を争うほどのステイヤー気質。ただしほとんどの産駒が後ろからの競馬なので、どの距離でも勝率7%前後とやや低め。
ただし複勝率は良くマイル戦で27.5%、中距離で22.8%、中長距離以上で34.4%とかなり高め。出頭数が少ないですが短距離戦では35.8%と抜けた数字。ゴールドシップはステイヤーというイメージが働くため穴馬になりやすく、出走してきたら抑えで買い。
ゴールドシップの代表産駒
ユーバーレーベン(2021年オークス)
2021年にユーバーレーベンがオークスを制しG1馬の種牡馬に晴れて仲間入り。ステイヤーのイメージがあるため、同じ血統背景を持つオルフェーヴルと比べ集まっている繁殖牝馬の質は相対的に良くありません。
しかしクラッシックのG1馬を輩出したことで今後良い肌馬が集まり、活躍する産駒が増えることが予想されます。




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