競馬では出走1時間くらい前に馬体重が発表されます。馬体重は出走馬の健康状態や体調を測る上で重要なファクターです。そのため馬体重が発表されると、前走との僅かな差で一喜一憂することも少なくありません。では実際に馬体重と馬券はどのような関係にあるのか詳しく解説します。
馬体重の数字を見ないで馬体を見るべき
実は発走前に発表される馬体重の数字は多少の変動なら、基本的に気にする必要はありません。
馬も飲食もすれば、体内にボロ(糞)を溜め込んでもいます。厩舎の方針に拠りますが馬は1日2~4食、人間よりはるかに多くの量を食べるので、平均して10kg未満の増減ならレースにはほとんど影響しません。
本来大切なのは走れる馬体に仕上がっているかどうかです。しかし馬体重が大きく変動している場合は好走、凡走に大きく関わるので注意が必要です。そのため基本的な馬体の見方を知っておくのがベストです。
馬体の見方

馬体が増減していても
- 脂肪が付きやすい腹回りがすっきりしている。
- 肩やトモの筋肉が盛り上がり、筋肉の筋がくっきりと見える。
- 皮膚に張りがある。
以上の条件が揃っているなら十分に仕上がっています。馬の体調も良い証拠です。
逆に馬体が増減して
- 腹回りが脂肪でぽったりしていている。
- 逆に痩せ過ぎて脾腹が寂しく、腹のラインが切れ上がり過ぎている。
- 肩やトモの筋肉が皮下脂肪で見えない。
- 肩やトモの筋肉の付き方が寂しい。
- 皮膚に張りやみずみずしさがない。
などの状態が観察できる場合は体調不良の可能性が高く、余程の実力差がなければ馬券にはなりません。
馬体重が増えている時の注意点
10kg以上増えても筋肉が増えれてれば買い
馬体重の発表で前走より数字が10kg増えていると太めの印象を受けるので、どうしても選択肢から外してしまいがちです。しかし同じ10kgでも脂肪の10kgと筋肉の10kgでは意味が違います。
脂肪は単に重くなるだけでパフォーマンスが低下します。ハンデ1kgは時計で0.2秒に相当します。脂肪が10kg増えれば計算上レースで2秒引き離され勝負になりません。逆に脂肪が減ったなら、その分負荷がかかりません。当然高いパフォーマンスを発揮する期待が高まります。
筋肉が増えている場合は馬体の張りが良く見え、スピードやパワーも以前より増しています。競走馬は休養すると筋肉が細く小さくなり、その分筋肉の重量が減ります。調教を再開すると徐々に筋肉量が元に戻ってくるので、当然買いの材料です。
冬場は脂肪が付きやすい
冬場は基礎代謝が悪くなり、脂肪が付きやすくなります。番組によっては出走馬の大多数が10kg前後増えていることも少なくありません。冬場に急に馬体が増えた場合は脂肪が増えている可能性が高く、当然消しの材料です。
特に本来馬体の変動が少ない高齢馬は、若い馬に比べ基礎代謝自体が低下しています。また加齢で基礎代謝が低下した状態で冬場に脂肪が付くと調教程度の運動では落ちません。ダイエットのために飼い葉の量を減らせば当然レース中のパワーも低下します。
若駒で馬体重が増えている時は成長分の可能性あり
逆に若い馬で急に馬体が増えている場合は、筋肉が付いている可能性が考えられます。馬の成長には個体差があり、人間に比べ成長が早いのが特徴です。特に3歳春から明け4歳までは人間で言えば思春期に当たり急激に成長します。
特に500kgに近い雄大な馬格の持ち主なら10kgといえば全体の2%程度しかありません。成長期なら短期間の内に10kg単位で増えるケースはざらにあります。筋肉が増えた馬体重増なら、パワーやスピードも向上しているので買いの材料です。
馬体重が減っている時の注意点

馬体重減は絞れているのか、疲労が溜まっているのかを判断
前走より馬体重が大幅に減っている時は、馬体増の時よりも注意が必要です。
前走休養明けで馬体が増えて戻ってきて凡走し次走で馬体重が減っていた場合は、余分な脂肪が減っていると考えられるので買いの材料です。
しかしある程度出走して徐々に馬体が減っている場合は、疲労が蓄積している可能性があります。疲労が蓄積すると内臓機能が低下し、食が細くなります。その状態でトレーニングを積むと運動中に不足したエネルギーを筋肉のたんぱく質を分解して補ってしまいます。
その結果筋肉が細くなり、レース中に満足なパフォーマンスを発揮できなくなります。当然パドックでも覇気がなく、脚の踏み込みも弱々しくなります。馬券に絡むこともほとんどありません。
牝馬は馬体重が減りやすい
牝馬は牡馬に比べ精神的に繊細で食が細く、輸送やストレスなどの環境変化で馬体を減らすことが良くあります。この場合もあまり良い材料ではありません。パドックなどで馬体もしっかりチェックした方が賢明でしょう。
休養明けの馬もパドックで馬体を見て判断

休養中の馬は筋肉が細くなっている
長期休養明けの馬はどうしても馬体重の変動が気になります。そのため馬体重が前走と同じか少し軽いからと言って、必ずしも馬体が仕上がっている保証はありません。
休養で筋肉を使わない環境が続くと筋肉は細くなり、基礎代謝も落ちて脂肪が付きやすくっなています。人間のアスリートも同じですが筋肉は使わないと細くなり、脂肪が付いてパフォーマンスも低下します。
一度減った筋肉を戻すには、それなりに時間をかけて再びトレーニングを積む必要があります。馬も同様で、一度ガレて細くなった筋肉を元に戻すには相当な時間と調教を要します。そのため馬体重と一緒に馬体をしっかり確認する必要があります。
休養と言っても外厩で調教している場合も
ノーザンファームや社台ファームなど大手の生産牧場出身の場合、休養と言っても自前の育成用のトレーニングセンターで調教を積んでいる場合があります。これを外厩制度と言います。
JRAのルール上、競走馬は登録したレースの10日前までに所属厩舎に戻っていれば良く、美浦や栗東のトレーニングセンター以外で調教を積んではならないといった規則はありません。
そのためノーザンファームや社台ファームなど大手の生産牧場出身馬やクラブ所有馬は番組表では休養と書いてあっても実際は休養先で十分に調教を積んでいる可能性が高く、休養前と同程度の馬体重なら十分に仕上がっていると考えられます。
ただし一部の競馬新聞を除いて外厩利用の情報はなく、やはりパドックや調教時計などで実際に馬体や馬の調子を確認するのが有効です。
まとめ
競走馬の馬体重の増減の理由は様々です。狙った馬の馬体重が大きく変動している場合は、ポジティブな要因かネガティブな要因かをよく検討して馬券を買わなければなりません。また数字だけを追ってしまうとどうしても先入観が働きます。
気になった場合は必ずパドックやキャンターなどで馬体を見て、競馬新聞の調教時計などきちんと仕上がっているか確認するのが良いでしょう。



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