2020年マーチステークスの注目馬を分析!
今年のマーチステークスにはG1ホープフルステークス勝ちのタイムフライヤーや芝重賞勝ちのクリンチャーが参戦戦を表明。他にダート重賞路線で活躍する有力馬がいない中、この2頭は果たして勝ち負けになるのか、出走登録各馬の実力を比較分析します。
マーチステークスの特徴
第3回中山開催2日目に行われるダート1800mのG3ハンデキャップ戦。外国馬、地方馬共に4頭まで出走が可能。フェブラリーステークス以後はJRAのダート重賞は少なく、名誉と高額賞金を求める有力馬は地方競馬のG1に参戦するため、基本的に手薄なメンバー。
そのため荒れるレースとして知られ、過去10年で1番人気の優勝は無し。1,2番人気が馬連に絡まなかったことが5回もあります。
アーチステークスのレース及びコースの攻略法
小回りの中山コースを1周回るダートの1800mを使用。スタートはスタンド手前の第四コーナーを回った付近。スタート直後に中山の急坂を登ることになり、さらに急なコーナーを4つ回るので全体的にレースのペースは遅め。逃げ、先行が圧倒的に有利なコースです。
特徴的なのはこの時期の中山のダートは乾燥して時計が掛かり、他の競馬場のダートコースよりパワーが必要。馬体重は筋肉量に比例するので、過去10年で連対した20頭中16頭が前走500kg以上です。筋肉が盛り上がり500kg以上の馬なら迷わず買い。
またハンデキャップ戦とはいえ54kg以下の軽ハンデ馬は過去10年で馬券になっていません。それなりに実力がなければ勝てず、近走でいかに調子が良いかを見極める必要があります。
勝ち馬予想に役立つ!重賞の注目馬分析
タイムフライヤー

ハーツクライ | サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | ||
アイリッシュダンス | トニービン | |
ビューパーダンス | ||
タイムトラベリング | ブライアンズタイム | Roberto |
Kelley’s Day | ||
ジョリーザザ | Alzao | |
Bold Lady |
タイムフライヤーは2歳時にG1ホープフルステークスを優勝しています。その後クラシック路線を歩みましたが、三冠レースは3着さえ拾えず惨敗。その後の芝路線でもいまいちパッとしない成績でした。
しかしダートに活路を求めたG3武蔵のステークスで8番人気ながら2着。その後ダートG1チャンピオンズカップでは8番人気8着と入賞まででしたが、フェブラリーステークスでは5着と気を吐いています。
タイムフライヤーは前走のフェブラリーステークスでは激しい先行争いに巻き込まれ、ハイペースで3番手で飛ばしての5着。逃げた2頭は9、12着と惨敗。勝ち馬や上位入賞馬は皆差し・追い込み馬なので、粘ったタイムフライヤーのこの5着は高く評価できます。
父は芝の中距離以上で良績の産駒を多く輩出するハーツクライ。基本的に産駒は芝が苦手です。
一方、タイムフライヤーの母方にブライアンズタイムが入っています。ブライアンズアタイムは芝ではナリタブライアン、ダートではタイムパラドックスなどの活躍馬を輩出しています。タイムフライヤーの場合は母のブライアンズタイムの血が濃く出ていると判断できます。
前でも後ろでも競馬はできますが、成績が良いのは後ろから追い込んだ時。さらに馬体が470kg台と、この時期の中山ダートではパワー不足を感じます。実力上位でも入着まででしょう。
クリンチャー

ディープスカイ | アグネスタキオン | サンデーサイレンス |
アグネスフローラ | ||
アビ | Chief’s Crown | |
Carmelized | ||
ザフェイツ | ブライアンズタイム | Roberto |
Kelley’s Day | ||
ミスシャグラ | Danzig | |
Dusty Dollar |
クリンチャーは2018年の芝G2京都記念の優勝馬。菊花賞で2着、翌年の天皇賞春でも3着の実績があり、このメンバーでは実力上位馬。しかしその後の芝路線では人気以下の着順が増え、前走試走したダートのリステッド競走で2着したことから、G3マーチステークスへの参戦です。
父はNHKマイルカップとダービーを勝ったディープスカイ。これを見ると芝向きの馬に思えますが、ディープスカイはダートを走る産駒を多く輩出しています。ディープスカイの父のアグネスタキオンもダート馬を多く輩出し、この影響が出ていると考えられます。
また3000mの長距離を走れるスタミナは母の父のブライアンズタイムから。ブライアンズタイムからナリタブライアンやマヤノトップガンといった菊花賞馬を出しています。またブライアンズタイムはダートのG1や重賞勝ち馬も多数輩出している万能型の種牡馬です。
馬体重も常に490kg台と力の要るこの時期の中山ダートに十分耐えられる馬体です。タイムフライヤーよりは期待が持てる1頭です。
スワーヴアラミス
ハーツクライ | サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | ||
アイリッシュダンス | トニービン | |
ビューパーダンス | ||
ベイトゥベイ | Sligo Bay | Sadler’s Wells |
Angelic Song | ||
Bala | With Approval | |
Muskoka Dawn |
スワーヴアラミスはハーツクライ産駒なので新馬から芝を走っていましたが勝ち切れず、3歳夏の未勝利戦からダート路線変更。それから順調に勝ち星を重ね、前々走にオープン勝ち。前走でも2着とダートで安定した成績を残しています。
スワーヴアラミスの血統構成を見る限り、ダートを走る要素はありません。強いて言うなら三代までのこの表にはありませんが、母系の四代先のヘイローの血が出たのか。ヘイローはサンデーサイレンスの父で、他にもアメリカのダートステークスウィナーを多数輩出しています。
スワーヴアラミスはここ4戦もレースの上がり時計より早い上がり時計を繰り出しているので、間違いなくオープンクラスの能力を持っています。G3とはいえ今回ダートの有力馬が出走せずオープンクラスが大半のなら、ハンデ次第で馬券に絡む可能性があります。
メイショウワザシ
アイルハヴアナザー | Distorted Humor | フォーティナイナー |
Danzig’s Beauty | ||
プリンセスオリビア | Lycius | |
Dance Image | ||
メイショウワカツキ | マンハッタンカフェ | サンデーサイレンス |
サトルチェンジ | ||
シーヴェ | Storm Cat | |
Eaves |
メイショウワザシはG3シリウスステークスの3着馬。前走は中山ダート1800mオープンの総武ステークスを逃げて快勝しています。馬体重が530kgを超え、レースは逃げ・先行脚質なのでマーチステークスの条件に合っています。
メイショウワザシちちアイルハヴアナザーはアメリカ三冠の内ケンタッキーダービーとプリネークスステークスを連覇した実力馬。三冠目の直前に故障を発生して引退しています。同じ父を持つアナザートゥルースがダートG3アンタレスステークスを勝ってるので日本ダートは問題なし。
メイショウワザシの母系にあるマンハッタンカフェやストームキャットも底力を伝えるので、ここでも十分通じる力はあります。
ルールソヴァール
フレンチデピュティ | Deputy Minister | Vice Regent |
Mint Copy | ||
Mitterand | Hold Your Peace | |
Laredo Lass | ||
キョウエイトルース | フジキセキ | サンデーサイレンス |
ミルレーサー | ||
プラウドデボネア | プラウドデボネア | |
キョウエイミート |
ルールソヴァールは2年前の地方競馬のG3佐賀記念の優勝馬。2年前にはJRAダートG3都ステークスでも2着しています。前走は1年半ぶりの出走で、さすがにシンガリ負け。今回も9か月ぶりでの出走になります。
ルールソヴァール全兄にJRAダートG1チャンピオンカップや地方のダートG1東京大賞典を勝ったサウンドトゥルーがいるので、この馬も同様にダート適性が高いと判断できます。8歳馬ですが兄が10歳でも現役で、いまだにG2ダイオライト記念で3着しと息の長い活躍をする血統です。
筋肉量が多く使い込むと筋肉が堅くなる系統らしく、あまりコンスタントに使えない欠点があります。ただし前走以外はオープンクラスでレールの上がりより早い上がり時計をマークしているので、オープンクラスなら勝ち切る能力は秘めています。
ルールソヴァールはポン掛けするタイプなので、今回のハンデと当日馬体の仕上がり具合をチャックしてから馬券に入れるかどうか検討してください。
ワイルドカード
ストリートセンス | Street Cry | Street Cry |
Helen Street | ||
Bedazzle | Dixieland Band | |
Majestic Legend | ||
パーフェクトチャンス | Unbridled’s Song | Unbridled |
Trolley Song | ||
Win Crafty Lady | Crafty Prospector | |
Honeytab |
ワイルドカードは新馬戦からダートの1600~1800mを中心に使われ順調に勝ち星を重ね、前走リステッド競走でメンバー最速の脚を繰り出し勝ち上がっています。馬体重も540kg以上あり、常に前でレースを運べるのもマーチステークス向き。
ワイルドカードの父ストリートセンスは米国2歳チャンピオン。3歳時にケンタッキーダービーとトラヴァースステークスを勝ち種牡馬になっています。母の父アンブライドルズソングも大種牡馬。日本ではブルードメアサイアーとしてスワーヴリチャードやコントレイルの血にあります。
ワイルドカードの唯一の敗戦が中山ダート1800mなのも恐らく疲労が原因。2戦して短期休養、2戦して短期休養というローテーションを繰り返しているのは、豊富な筋肉量からレースでパワー繰り出す反動で筋肉が堅くなりやすいためと判断。今回も3か月休み明けで同じパターンです。
ワイルドカードの成績を見ればポン掛けはすタイプ。血統もスケールが大きいので、G3としてはメンバーが手薄なここでも勝ち負けを期待できます。
マーチステークス出走表
枠番 | 馬番 | 出走馬 | 父 | 馬齢 | 騎手 | 生産牧場 |
所属 | 母の父 | 斤量 | 馬主 | |||
1 | 1 | ワイルドカード | ストリートセンス | 牡6 | 北村宏司 | ダーレー・ジャパン・F |
木村哲也 (美浦) | Unbridled’s Song | 56kg | ゴドルフィン | |||
1 | 2 | クリンチャー | ディープスカイ | 牡6 | 石橋脩 | 平山牧場 |
宮本博 (栗東) | ブライアンズタイム | 57.5kg | 前田幸治 | |||
2 | 3 | サンマルデューク | ロージズインメイ | 牡11 | 武士沢友治 | 田端牧場 |
和田勇介 (美浦) | サンデーサイレンス | 52kg | 相馬勇 | |||
2 | 4 | レピアーウィット | ヘニーヒューズ | 牡5 | 石川裕紀人 | ノーザンファーム |
堀宣行 (美浦) | Running Stag | 55kg | 金子真人H | |||
3 | 5 | タイムフライヤー | ハーツクライ | 牡5 | F.ミナリク | 白老ファーム |
松田国英 (栗東) | ブライアンズタイム | 57kg | サンデーレーシング | |||
3 | 6 | ルールソヴァール | フレンチデピュティ | 騙8 | 吉田豊 | 岡田スタッド |
高木登 (美浦) | フジキセキ | 57kg | ノルマンディーSR | |||
4 | 7 | コマビショウ | エンパイアメーカー | 牡5 | 津村明秀 | フジワラファーム |
南井克巳 (栗東) | ホワイトマズル | 55kg | 小林一成 | |||
4 | 8 | テーオーフォース | シンボリクリスエス | 牡5 | 鮫島克駿 | ヤナガワ牧場 |
岡田稲男 (栗東) | スペシャルウィーク | 53kg | 小笹公也 | |||
5 | 9 | リアンヴェリテ | ゴールドアリュール | 牡6 | 柴山雄一 | 加藤誠 |
中竹和也 (栗東) | Cozzene | 57.5kg | ノースヒルズ | |||
5 | 10 | ローズプリンスダム | ロージズインメイ | 牡6 | 大野拓弥 | ユートピア牧場 |
畠山吉宏(美浦) | シンボリクリスエス | 56kg | 岡田 牧雄 | |||
6 | 11 | テルペリオン | フリオーソ | 牡6 | 横山武史 | 谷川牧場 |
寺島良 (栗東) | ダンスインザダーク | 57kg | ダイリン | |||
6 | 12 | スワーヴアラミス | ハーツクライ | 牡5 | 藤岡康太 | NICKS |
須貝尚介 (栗東) | Sligo Bay | 57kg | 白老ファーム | |||
7 | 13 | アシャカトブ | シスターミニスター | 牡4 | 武藤雅 | 岡田牧場 |
小笠倫弘 (美浦) | キングカメハメハ | 54kg | 吉冨学 | |||
7 | 14 | メイショウスミトモ | ゴールドアリュール | 牡9 | 勝浦正樹 | フジワラファーム |
南井克巳 (栗東) | アジュディケーティング | 55kg | 松本好雄 | |||
8 | 15 | メイショウワザシ | アイルハヴアナザー | 牡5 | 柴田善臣 | 富田牧場 |
南井克巳 (栗東) | マンハッタンカフェ | 56kg | 松本好雄 | |||
8 | 16 | ナムラアラシ | エンパイアメーカー | 牡7 | 内田博幸 | いとう牧場 |
牧田和弥 (栗東) | エンドスウィープ | 57kg | 奈村信重 |
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