2020年阪神大賞典の注目馬を分析!
阪神大賞典の特徴
阪神競馬場第1回開催9日目に行われる芝3000mのG2レースで、過去のG1勝利実績により負担重量が決まる別定戦。JRAでも数少ない長距離重賞で、天皇賞春のステップレースとして定着しています。JRA所属なら1着に、地方所属馬なら2着までに天皇賞への優先出走権が与えられます。
春の天皇賞は八大競争の一つであり、優勝すれば馬主として大変名誉。一方で、ステイヤー気質の馬は一度前哨戦として叩かないとい本番で本領が発揮できない馬が多く、過去に阪神大賞典に出走するメンバーもそうそうたる顔ぶれ。
過去10年の勝馬ではゴールドシップが3連覇、ジャパンカップ勝ちのシュヴァルグラン、菊花賞・有馬記念勝ちのサトノダイヤモンド、天皇賞春勝ちのレインボーラインと、勝ち馬のほとんどがG1馬か、過去に重量を勝っている馬です。
ステイヤーが参加できる重賞が少ないのでリピーターも多く、また別定戦なので個々の馬の実力差がハッキリと比較できるレース。そのため1番人気の信頼度が高く、馬券もほぼ上位人気馬で決まり荒れません。
阪神大賞典のレース&コースの攻略法
阪神外回りコースを使用し、スタンド向こう側からスタートして1周半、合計6回コーナーを回ります。本番の天皇賞春の京都コースとは異なり、阪神コースはアップダウンが激しく、しかもゴール手前に急坂が待ち構えているのでスタミナと共にパワーも必要です。
基本的にカーブがきついコーナーを6つも回らなければならず、レース全体の時計は遅めでスタミナを温存しやすい展開になります。さらにゴール前のホームストレッチも356.5mと短いので、基本的に雪崩れ込める逃げ、先行馬が有利です。
阪神大賞典出走表
枠番 | 馬番 | 出走馬 | 父 | 馬齢 | 騎手 | 生産牧場 |
所属 | 母の父 | 斤量 | 馬主 | |||
1 | 1 | レノヴァール | ハーツクライ | 牡5 | 幸英明 | ノーザンファーム |
高野友和 (栗東) | Roy | 56kg | キャロットファーム | |||
2 | 3 | メロディーレーン | オルフェーヴル | 牝4 | 岩田望来 | 岡田スタッド |
森田直行 (栗東) | Motivator | 53kg | 岡田牧雄 | |||
3 | 5 | ムイトオブリガード | ルーラーシップ | 牡6 | 藤岡佑介 | ノーザンファーム |
角田晃一 (栗東) | サンデーサイレンス | 57kg | 市川義美H | |||
4 | 7 | トーセンカンビーナ | ディープインパクト | 牡4 | 藤岡康太 | 社台ファーム |
角居勝彦 (栗東) | Hawk Wing | 55kg | 島川隆哉 | |||
5 | 9 | タイセイトレイル | ハーツクライ | 牡5 | 福永祐一 | ノーザンファーム |
矢作芳人 (栗東) | シンボリクエスエス | 56kg | 田中成奉 | |||
6 | 11 | メイショウテンゲン | ディープインパクト | 牡4 | 松山弘平 | 三嶋牧場 |
池添兼雄 (栗東) | フレンチデピュティ | 55kg | 松本好雄 | |||
7 | 13 | ボスジラ | ディープインパクト | 牡4 | 武豊 | ノーザンファーム |
国枝栄 (美浦) | 国枝栄 (美浦) | 55kg | 市川義美H | |||
7 | 14 | ドレッドノータス | ハービンジャー | 騙7 | 坂井瑠星 | ノーザンファーム |
矢作芳人 (栗東) | サンデーサイレンス | 57kg | キャロットファーム | |||
8 | 15 | キセキ | ルーラーシップ | 牡6 | 川田将雅 | 下河辺牧場 |
角居勝彦 (栗東) | ディープインパクト | 57kg | 石川達絵 | |||
8 | 16 | ユーキャンスマイル | キングカメハメハ | 牡5 | 岩田康誠 | ノーザンファーム |
友道康夫 (栗東) | ダンスインザダーク | 56kg | 金子真人H |
勝ち馬予想に役立つ!阪神大賞典の注目馬分析
キセキ
ルーラーシップ | キングカメハメハ | Kingmambo |
マンファス | ||
エアグルーヴ | トニービン | |
ダイナカール | ||
ブリッツフィナーレ | ディープインパクト | サンデーサイレンス |
ウインドインハーヘア | ||
ロンドンブリッジ | ドクターデヴィアス | |
オールフォーロンドン |
2017年の菊花賞馬で、今回出走登録した中で唯一のG1馬。この他にも大阪杯、宝塚記念、ジャパンカップで2着、天皇賞秋でも3着があるように、常にG1で勝ち負けできる実力を有しています。しかも早い時計で逃げて粘り込み、レコード決着を演出するおまけつき。
菊花賞の勝ち馬なのでステイヤーに見られますが、菊花賞後は天皇賞春には使っておらず、毎日王冠を1:44:7で3着しているように本質的には中距離から中長距離向き。これは血統面からも裏付け出来ます。
父のルーラーシップはNHKマイルカップとダービーを制したキングカメハメハ、オークスと天皇賞秋を制したエアグルーヴの間に生まれた良血馬。ルーラーシップ自身は国内G1では善戦止まり、唯一のG1勝ちは香港のクイーンエリザベス2世カップだけです。
母系には無敗の3冠馬でG1を7勝したディープインパクト。祖母のロンドンブリッジはオークス馬です。これだけ見ても血統からの適正距離は2000~2400m。菊花賞を勝てたのは良血の賜物と言えるでしょう。
ただ菊花賞勝ち以後のG1は善戦止まりなのは、ルーラーシップの性格の遺伝か。過去のキセキの実績と血統だけ見れば、阪神大賞典に出走する他馬とは明らかに能力上位。ここは勝ち負け。
ユーキャンスマイル
キングカメハメハ | Kingmambo | Mr.Prospector |
Miesque | ||
マンファス | ラストタイクーン | |
Pilot Bird | ||
ムードインディゴ | ダンスインザダーク | サンデーサイレンス |
ダンシングキイ | ||
リープフォージョイ | Sharpo | |
Humble Pie |
2018年の菊花賞3着馬。G3の長距離重賞ダイヤモンドステークス、2000mのG3新潟記念と重賞2勝を上げています。また天皇賞秋、ジャパンカップで4着、5着しているようにユーキャンスマイルはG1でも好走できる能力を秘めています。
父はキングカメハメハ。キングカメハメハの産駒は芝ダートを問わず短距離から中長距離までコンスタントに活躍馬を送り出しますが、こと長距離戦では戦績がガクンと下がります。ユーキャンスマイルはキングカメハメハの産駒としては異例のタイプ。
ユーキャンスマイルの母の父に菊花賞馬のダンスインザダークの血が入っており、キングカメハメハの産駒にしてはスラっとした馬体なのを見ても、ダンスインザダークの血が濃く出ていると思われます。
ダンスインザダークはサンデーサイレンスの直仔で、武豊が早くからダービーを意識して騎乗していた馬。本番のダービーではでフサイチコンコルドに首差破れ2着。三冠最後の菊花賞では上がり33.8の末脚を繰り出し優勝しています。
ダンスインザダークの血に長距離で活躍馬を多く出すキートゥザミントの血が入っており、ダンスインザダークから3頭の菊花賞馬を輩出しています。ユーキャンスマイルも長距離戦で上がり33秒台の末脚を繰り出すので、やはりダンスインザダークの血が濃いと見て良いでしょう。
今回人気になるキセキと斤量が1kg軽くなるのは有利。血統面から見てもユーキャンスマイルにより距離適性があるので、キセキを上手くマークできる形にレースを進めれば展開次第で逆転が可能です。
ボスジラ
ディープインパクト | サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | ||
ウインドインハーヘア | Alzao | |
Burghclere | ||
ミスパスカリ | Mr. Greeley | Gone West |
Long Legend | ||
ブルーアヴェニュー | Classic Go Go | |
Eliza Blue |
長距離の条件クラスを3連勝し、ディープインパクト産駒ということからも今回人気になる1頭。2、3歳でクラシック路線に乗れないと分かるとすぐに休養に当てて成長を促すなど、陣営の期待の高さが伺えます。
ただ、血統面や実績からいきなり阪神大賞典で勝ち負けできるかと言えば、ちょっと無理かもしれません。母のミスパスカリは現役時代旧1000万クラスの馬。重賞にも出走していますがG3マーメードステークス3着が最高。母の父はブリダーズカップスプリント2着馬と短距離向き。
母も父も馬主の金子氏の持ち馬で、過去に同氏持ち馬だったキングカメハメハやカネヒキリを種付けしていますが、それも条件止まりです。ボスジラの場合、より多くディープインパクトの特性が出ていると考えられますが、兄弟を見ても重賞を勝ち切る底力まではないと思われます。
メイショウテンゲン
ディープインパクト | サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | ||
ウインドインハーヘア | Alzao | |
Burghclere | ||
メイショウベルーガ | フレンチデピュティ | Deputy Minister |
Mitterand | ||
パパゴ | Sadler’s Wells | |
Passamaquoddy |
昨年度のG2弥生賞の勝馬。弥生賞以後のクラシック路線は全て2ケタ着順と精彩を欠きましたが、長距離重賞のステイヤーズステークスで4着、前走のダイヤモンドステークスではタイム差無の2着と成績が安定してきています。
父はディープインパクトですが、距離適性や走りは母のメイショウベルーガから。メイショウベルーガは古馬になってから牡馬相手に重賞路線で活躍した馬で、牝馬で日経新春杯と京都大賞典と中長距離G2を2勝は立派。5歳時にエリザベス女王杯で2番に人気2着しています。
メイショウベルーガは阪神大賞典も走っており、この時は3着。そのためメイショウテンゲンのスタミナは母の血にあるサドラーズウェルズからと判断できます。母も古馬になって頭角を現したように、メイショウテンゲンもこれからの馬。
ファンの間ではクラッシク路線での惨敗が頭にあり、近2走がフロックと見られて人気が無いようなら狙って良い馬です。
ムイトオブリガード
ルーラーシップ | キングカメハメハ | Kingmambo |
マンファス | ||
エアグルーヴ | トニービン | |
ダイナカール | ||
ピサノグラフ | サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | ||
シンコウラブリイ | Caerleon | |
ハッピートレイルズ |
昨年の東京芝2500mG2アルゼンチン共和国杯の勝馬。その前年のアルゼンチン共和国杯でも0.1秒差2着しているので、同レースと相当相性が良いと思われます。その他の重賞では入賞こそすれ馬券には絡んでいません。
父はキセキと同じルーラーシップ。母系にマイルチャンピオンシップを勝ったシンコウラブリイが入っているので、距離適性は明らかに父系のルーラーシップから。すらっとして脚が長いの体型は、エアグルーヴの父に当たるトニービンの血と考えられます。
トニービンの産駒は東京でやたら強く、多くのG1馬を輩出。そのG1勝馬のほとんどが鋭い末脚が武器です。この馬も東京の長い直線で32.5と33.8秒という驚異の末脚を発揮。この末の爆発力はキングカメハメハが産駒に伝える筋肉の影響でしょう。ただ東京以外では不発です。
恐らく大飛びで加速まで時間がかかる脚質と考えられ、ホームストレッチの短い阪神内回りコースは不向き。近走のG2勝利が評価され人気が出ると思われますが、頭を捕らえるまではいかず、せいぜい3着まででしょう。
コメント