2020年高松宮記念の注目馬を分析!
昨年のスプリンターズステークスの覇者タワーオブロンドン、ワールドベストホースランキング3歳牝馬部門1位のグランアレグリア、ヴィクトリアマイルで驚異のレコード勝ちを収めたノームコアなどスピード自慢が集う今年の高松宮記念。そうそうたるメンバーが集う中から注目馬をピックアップし勝ち負けできるか分析します。
高松宮記念の特徴
中京競馬で行われる高松宮記念は、秋に中山競馬場で行われるスプリンターズステークスと共に短距離王者を決める芝1200mのG1レースです。負担重量は牡馬57kg、牝馬は55kg。国際G1に格付けされ外国馬の出走も可能です。
かつて短距離G1は年末に中山で行われていたスプリンターズステークスしかなく、その年の短距離路線の総決算の位置づけ。一方で短距離路線で走る馬は他の距離より多く、これといった重賞がなかったため馬主には短距離馬を持つことは経済的に負担でした。
そこで芝2000mでG2クラスだった高松宮記念を1200mに変更しG1へ昇格。年末のスプリンターズステークスを秋のG1初戦に移動し、1年を通し短距離馬が活躍できるレース体型が確立します。現在はサマーシリーズもスプリント戦があり短距離路線が充実しています。
レース及びコースの攻略法
高松宮記念が行われる中京芝1200mは最後の直線が長いことが最大の特徴。秋に中山で行われるスプリンターズステークスは小回りで直線が短く、基本的に逃げ・先行馬が有利です。さらに同レースは逃げ・先行馬が傾れ込みを狙い飛ばすので早い時計で決着します。
一方高松宮記念はスタートから第3コーナーまでの直線が長いのでスタートからスピードが出しやすいのですが、スパイラルカーブを採用しているのでそのまま飛ばすと4コーナーを回った時に遠心力で外に膨れてしまうコース設定です。
さらに最後の直線が長いので各馬ラストスパートをけん制し合うので、全体の時計はスプリンターズステークスに比べ遅め。またスパイラルコースでは先行馬が外に膨らむ反面、差し、追い込み馬は内ラチに入り込めるメリットがあり走行距離が短くなります。
そのため基本的に差し、追い込み馬が有利で、最後は瞬発力勝負。持ち時計よりも、最後の上がりが早い馬を狙うのが鉄則です。スプリンターズステークスとは180度考え方が逆です。さらに開幕が進み内ラチはやや荒れ、外差しが決まりやすくなっています。
勝ち馬予想に役立つ!高松宮記念の注目馬分析
タワーオブロンドン

Raven’s Pass | Elusive Quality | Gone West |
Touch of Greatness | ||
Ascutney | Lord at War | |
Right Word | ||
スノーパイン | Dalakhani | Darshaan |
Daltawa | ||
シンコウエルメス | Sadler’s Wells | |
Doff the Derby |
タワーオブロンドンは昨年のスプリンターズステークスの覇者。勝利時計も1:07:1と超が付くほど優秀。その前走の阪神芝1200mG2セントウルステークスでも1:06:7で勝利し、早い時計決着は望むところでしょう。短距離の差し馬で、コンスタント使える33秒前半の末脚が武器。
タワーオブロンドンの前走、オーシャンステークスではライバルのダノンスマッシュに0.7秒差負けしましたが、相手より+2kgの負担重量増。しかもスプリンターズステークスからの長期休養明けで、多少重め残り。相手が順調に使ってきた分だけ差がありました。
今回は叩き2戦目で重めも取れ、1週間前追切で単走終い11.7秒なら調子が上がっている証拠。瞬発力勝負になりやすい高松宮記念はスププリンターズステークスより適鞍です。まず勝ち負け。
ダノンスマッシュ

ロードカナロア | キングカメハメハ | Kingmambo |
マンファス | ||
レディブラッサム | Storm Cat | |
サラトガデュー | ||
Spinning Wildcat | ハードスパン | Danzig |
Turkish Tryst | ||
Hollywood Wildcat | Kris S. | |
Miss Wildcatter |
ダノンスマッシュの前走の中山芝1200mG3オーシャンステークスでは、同じコースを使うスプリンターズステークスで3着と惜敗したタワーオブロンドンに雪辱を晴らして優勝。時計も1:07:4も優秀です。
ダノンスマッシュはこのレースで2kg負担重量が重いタワーオブロンドンに0.7秒差をつけているので、高松宮記念で同斤量になっても0.3秒差で勝てる計算です。
昨年の高松宮記念でもダノンスマッシュは1番人気で0.2秒差4着。時計も1:07:4と高松宮記念にしては早い決着で対応しているあたりは時計決着に強いと考えていいでしょう。ある程度前に行っても終い33秒後半から34秒前半でコンスタントにまとめられるのも能力が高い証拠。
ダノンスマッシュの父はこのレースを連覇したロードカナロア。ダノンスマッシュもロードカナロアのスピードと短距離適性を受け継いだ格好です。ただし鞍上の主戦の川田がG1では人気以上の着順に来ることはほとんどないので、唯一の安材料です。
グランアレグリア
ディープインパクト | サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | ||
ウインドインハーヘア | Alzao | |
Burghclere | ||
タピッツフライ | Tapit | Pulpit |
Tap Your Heels | ||
Flying Marlin | Marlin | |
Morning Dove |
グランアレグリア昨年の桜花賞馬で、アーモンド愛が持つレースレコードを0.4秒上回り1:32:7で優勝。牝馬ながら2歳時に朝日杯フューチュリティステークス、3歳のNHKマイルカップでは1番人気に押されています。NHKマイルカップ敗戦後に脚に膿が溜まり長期休養。
休み明け初戦の芝1400mG2阪神カップでは2着に0.8秒差をつけ優勝。レースのレーティングも117、今回対戦するダノンスマッシュがオーシャンステークスでマークしたレーティング114より上で。タワーオブロンドンがスプリンターズステークスでマークした数値と同じです。
グランアレグリアは昨年JRA最優秀3歳牝馬、及びワールドベストホースランキングでは117ポンドと3歳牝馬で1位になっています。今回は短距離戦の阪神カップとワールドベストホースランキングでの実績から、高松宮記念でも上位人気になること必須です。
ただし、阪神芝1400mのコースはマイラー気味が優勝しやすいコース。またグランアレグリアが圧倒的な1番人気になったマイルG1の2戦も、結局は2着にもなっていません。
グランアレグリアの父ディープインパクトはこれまで数多くのG1馬を輩出しましたが、短距離G1馬は1頭も出していません。また母のタピッツフライは米国の芝1800mG1の勝馬。明らかに短距離向きではありません。グランアレグリアのパフォーマンスはあくまでマイル戦の能力です。
グランアレグリアの前走上がり33.5もスプリンター専用のタワーオブロンドンが上回っています。さらに今回は前走よりも負担重量が1kg増。能力の差で高松宮記念の馬券に絡むことはあっても優勝までは難しいでしょう。
ノームコア
ハービンジャー | Dansili | デインヒル |
Hasili | ||
Penang Pearl | Bering | |
Guapa | ||
クロノロジスト | クロフネ | フレンチデピュティ |
ブルーアヴェニュー | ||
インディスユニゾン | サンデーサイレンス | |
ラスティックベル |
ノームコアは昨年の牝馬G1ヴィクトリアマイルカップの優勝馬。東京マイルを1:30:5のレコードは破格。仮に1ハロンの標準的な時計12秒を2ハロン分差し引いても1:06:5で駆け抜けられる計算です。
ノームコアは他にも3歳牝馬限定芝2000mG3紫苑ステークス、古馬芝1600mG3富士ステークスも優勝しています。さらに昨年末にアドマイヤマーズが優勝した香港マイルでは4着と、牡馬一級線と引けを取らない実力の持ち主です。です。
ノームコアの武器はコンスタントに使える33秒台の末脚。ノームコアの父のハービンジャーはイギリスの芝2400mのG1キングジョージ6世&エリザベスステークスの優勝馬。他のレースの勝利もほとんどが2400mです。
一方、ノームコアの母のクロノロジストの母系からは秋華賞馬のクロノジェネシス他、フサイチエアデール、ライラプス、フサイチリシャールなど重量勝馬を輩出。どの馬もマイルから中距離に良績が集中しています。ノームコアの距離適性も母系からと判断できます。
そのためノームコアがどんなに早い末脚を持っていたとしても、基本的にマイル以上でパフォーマンスが発揮できる能力です。一流のスプリンターが集う高松宮記念では忙しすぎて不発に終わる可能性の方が高いと考えます。
目標はあくまでヴィクトリアマイル連覇で、ここは他のレースに比べ負担重量が軽くなるので本番へ向けてのたたき台として使ってきたと見た方がいいでしょう。実際にローテションを見ても最適です。人気になっても軽視した方が無難です。
モズアスコット
Frankel | Galileo | Sadler’s Wells |
Urban Sea | ||
Kind | デインヒル | |
Rainbow Lake | ||
India | ヘネシー | Storm Cat |
Island kitty | ||
Misty Hour | Miswaki | |
Our Tina Marie |
モズアスコットは前走のフェブラリーステークス勝利でアドマイヤドン以来5頭目、16年ぶりにJRAの芝・ダート両G1を制しています。今回は出走予定だったオーストラリアのマイルG1ドンカスターマイルがコロナウィルスの影響で回避になったため高松宮記念へ参戦です。
もちろんモズアスコットはG1馬で短距離の根岸ステーク勝利、スワンステークス・阪急杯で差のない2着の実績があります。しかし1200mのレースは過去経験していません。上位クラスで勝ち切っているのは共にマイルなので、今までの成績から見ても短めのマイラーです。
父は欧州の芝中距離路線でG1を9連勝のフランケル。ただしフェブラリーステークスでも指摘したようにモズアスコットのコースと距離適性は母系のヘネシーの血です。ヘネシーは同じフェブラリーステークスを勝ったサンライズバッカスを輩出、やはり短めのマイラーを多く出します。
あくまでモズアスコットはドンカスターマイルを使えず、他に適鞍が無いための参戦。しかしながらモズアスコットはパワーがあり、直線で33秒台前半の末脚を持っているのは驚異。馬体は仕上がっているので、無欲で末脚勝負を仕掛けてくる場合は十分馬券に絡可能性があります。
アウィルアウェイ
ジャスタウェイ | ハーツクライ | サンデーサイレンス |
アイリッシュダンス | ||
シビル | Wild Again | |
シャロン | ||
ウィルパワー | キングカメハメハ | Kingmanbo |
マンファス | ||
トキオリアリティー | Meadowlake | |
What a Reality |
アウィルアウェイは前走のシルクロードステークス勝で晴れて重賞ウィナーの仲間入り。勝ち時計は1:09:0と遅いですが、上がり33.7秒と瞬発力があることを証明しています。2歳時に京王杯2歳ステークスでも上がり32.8秒をマークしているので、短距離の差し馬と判断できます。
父はハーツクライ譲りの強烈な末脚を武器に中距離路線で活躍したジャスタウェイ。ただしアウィルアウェイの場合、ジャスタウェイではなく母のウィルパワーの血を濃く継承しています。アウィルアウェイの半兄はマイル古馬G1を連勝しJRA最優秀短距離馬に輝いたインディチャンプ。
インディチャンプの父は長距離ランナーを多く輩出するステイゴールド。父が違っても短めの距離で良績が集中するのはアウィルアウェイの母系にあるトキオリアリティーの血が強い証拠。
トキオリアリティーはオーシャンステークス勝ちでスプリンターズステークス3着のアイルラヴァゲイン、安田記念勝ちで阪神カップを連勝したリアルインパクト、香港のクイーンエリザベス2世カップを制したネオリアリズムを輩出。産駒は基本的に短めのマイラーが多い印象です。
アウィルアウェイの距離適性と母系が持つ能力は上位馬と遜色ありません。強力な末脚は父のジャスタウェイ譲り。父は古馬になってから大成しています。G3が1勝と評価が低く人気がないなら狙って面白い馬です。
高松宮記念出走表
枠番 | 馬番 | 出走馬 | 父 | 馬齢 | 騎手 | 生産牧場 |
所属 | 母の父 | 斤量 | 馬主 | |||
1 | 1 | ステルヴィオ | ロードカナロア | 牡5 | 丸山元気 | ノーザンファーム |
木村哲也(美浦) | ファルブラヴ | 57kg | サンデーレーシング | |||
1 | 2 | アウィルアウェイ | ジャスタウェイ | 牝4 | 松山弘平 | ノーザンファーム |
高野友和(栗東) | キングカメハメハ | 55kg | 吉田勝己 | |||
2 | 3 | ダイアトニック | ロードカナロア | 牡5 | 北村友一 | 酒井牧場 |
安田隆行(栗東) | サンデーサイレンス | 57kg | シルクレーシング | |||
2 | 4 | ティーハーフ | ストーミングホーム | 牡10 | 国分優作 | ダーレー・ジャパン・F |
西浦勝一 (栗東) | Green Desert | 57kg | ゴドルフィン | |||
3 | 5 | ラブカンプー | ショウナンカンプ | 牝5 | 酒井学 | 奥山博 |
森田直行 (栗東) | マイネルラヴ | 55kg | 増田陽一 | |||
3 | 6 | ダノンスマッシュ | ロードカナロア | 牡5 | 川田将雅 | ケイアイファーム |
安田隆行 (栗東) | ハードスパン | 57kg | ダノックス | |||
4 | 7 | グルーヴィット | ロードカナロア | 牡4 | 岩田康誠 | ノーザンファーム |
松永幹夫(栗東) | スペシャルウィーク | 57kg | キャロットファーム | |||
4 | 8 | グランアレグリア | ディープインパクト | 牝4 | 池添謙一 | ノーザンファーム |
藤沢和雄 (美浦) | Tapit | 55kg | サンデーレーシング | |||
5 | 9 | タワーオブロンドン | Raven’s Pass | 牡5 | 福永祐一 | ダーレー・ジャパン・F |
藤沢和雄 (美浦) | Dalakhani | 57kg | ゴドルフィン | |||
5 | 10 | アイラブテーラー | トーセンラー | 牝4 | 武豊 | 中西浩一 |
河内洋(栗東) | ダンスインザダーク | 55kg | 富菜牧場 | |||
6 | 11 | クリノガウディー | スクリーンヒーロー | 牡4 | 和田竜二 | 三輪牧場 |
藤沢則雄(栗東) | ディアブロ | 57kg | 栗本博晴 | |||
6 | 12 | セウンコウセイ | アドマイヤムーン | 牡7 | 幸英明 | 桜井牧場 |
上原博之(美浦) | Capote | 57kg | 西山茂行 | |||
7 | 13 | ダイメイプリンセス | キングヘイロー | 牝7 | 秋山真一郎 | 横井哲 |
森田直行(栗東) | ダンスインザダーク | 55kg | 宮本 孝一 | |||
7 | 14 | モズアスコット | Frankel | 牡6 | M.デムーロ | Summer Wind Farm |
矢作芳人(栗東) | India | 57kg | キャピタル・システム | |||
7 | 15 | ナックビーナス | ダイワメジャー | 牝7 | 田辺裕信 | 社台ファーム |
杉浦宏昭(美浦) | More Than Ready | 55kg | 小松欣也 | |||
8 | 16 | モズスーパーフレア | Speightstown | 牝5 | 若松風馬 | Alpha Delta Stabkes |
音無秀孝(栗東) | Christies Treasure | 55kg | キャピタル・システム | |||
8 | 17 | シヴァージ | First Samurai | 牡5 | 藤岡佑介 | Himkle Farms |
野中賢二(栗東) | Indian Charlie | 57kg | カナヤマH | |||
8 | 18 | ノームコア | ハービンジャー | 牝5 | 横山典弘 | ノーザンファーム |
萩原清(美浦) | クロフネ | 55kg | 池谷誠一 |
コメント