2020年第161回G1天皇賞(春)予想 注目出走馬分析

重賞レースの注目馬分析

今年の春の天皇賞には昨年の覇者フィエールマンと2017年の菊花賞馬キセキの2頭のG1馬が登録。

関連の深い阪神大賞典優勝馬のユーキャンスマイル、日経賞優勝馬のミッキースワローなど長距離ランナーが多数出走する春の天皇賞登録馬の中から、注目馬をピックアップ。勝ち負けできるか分析します。

2020年天皇賞(春)の注目馬を分析!

天皇賞(春)の特徴

G1天皇賞(春)は京都第3回開催4日目に行われる芝3200mの4歳以上の馬齢定量戦です。旧八大競争の一つであり、天皇賞(秋)と共に日本の競馬史の中でも最も歴史と伝統を誇るレースです。負担重量は牡馬58kg、牝馬56kg。

国内平地G1の中で最長距離のレースで、大阪杯、宝塚記念と共に春の古馬三冠レースに位置付けられます。この春の古馬三冠レースを全て同一年に制覇すると、別途報奨金が授与されます。

秋の古馬三冠はテイエムオペラオーとゼンノロブロイが達成も、春の古馬三冠はまだ達成されていません。

また天皇賞(春)を制覇すると、オーストラリアのメルボルンカップの優先出走権が与えられます。

天皇賞(春)の馬券の傾向

JRAのレースの中でも長距離レースそのものが多くないため、距離適性が勝敗を大きく左右します。

血統の特徴

過去10年の種牡馬成績では、ステイゴールド産駒の優勝が3回。ブラックタイドが2回と続きますがブラックタイドは共にキタサンブラックでのもの。ブラックタイドはディープインパクトの全兄なので、これを含めるとディープインパクト系が3回となります。

また優勝こそないハーツクライの成績が良く、馬券に絡んだ30頭中8頭がハーツクライ産駒です

馬齢

以前は前年の菊花賞馬が翌年の天皇賞(春)を制することが多かったのですが、近年その傾向は崩れており、過去10年で前年の菊花賞馬が天皇賞(春)に挑戦したのは6頭。その内優勝したのはキタサンブラックとフィエールマンの2頭のみ。後は3着サトノダイヤモンドで複勝率は5割。

年齢別では4歳が3勝2着2回3着-5回、5歳が4勝2着3回3着0回、6歳が2勝2着3回2回、7歳以上は0勝2着2回3着3回。基本的に4歳から6歳までは差はなく、7歳以上は苦戦傾向。

人気

人気順では、過去10年で1番人気の優勝は2回だけで、これもキタサンブラックとフィエールマン。連対率は3割も、3着はなく、絶対的な実力がなければ馬券的に信用できません。

逆に2番人気は4勝2着2着0回3着2回、3番人気は0勝2着4回1回とこちらの方が馬券になります。また2桁人気が馬券に絡んだ年が5回とやや波乱含み。いずれも父或いは母に長距離適性のある血があり、父母どちらかの距離不足血統にごまかされる印象。

前走

前走は阪神大賞典組が8頭、日経賞組が7頭と拮抗し、このトライアルレースで全体の半分を占めます。阪神大賞典の優勝馬が天皇賞を制したのは過去10年で2回。阪神大賞典組が天皇賞で好走するには1,2着であることが条件。

一方、日経賞優勝馬がその年の天皇賞(春)を制したことはなく、2着2回が最高。ただし日経賞組が天皇賞で好走する場合は前走の着順は関係なく、日経賞を完全にたたき台に使った馬です。

また前走大阪杯の優勝が過去3回と最多。大阪賞組は前走の着順は関係なく、大阪杯での人気が5番以内であることが好走条件です。

天皇賞(春)のレース及びコースの攻略法

天皇賞(春)行われる京都芝3200mは、京都外り回を1周半するコースです。スタートはスタンド奥の第2コーナーと第3コーナーの中間地点から。

スタート直後は登り坂ですが、3コーナーを過ぎるとすぐに長い下り坂なので、間違って先行馬がここで加速すると後半息が持ちません。また1周目にゴール板があるため、ある意味利口な馬はゴールと勘違いして加速したり、レースをやめてしまったりします。

開幕から2週目と芝の状態は良好で、レース全体の時計は早め。また菊花賞と違い第3コーナー手前の登り坂を2度登るのでさすがにスタミナ面でごまかしが利かず、そのためステイヤーの資質がここで問われます。

2週目の第3コーナーを回り切ると再び長い下り坂になるのでスタミナに自信のある先行馬はここでロングスパートをかけてきます。直線が平坦なので、そのまま勢いで粘り込みも可能。ただ先行してもスタミナ面に問題があれば、ここで脚が上がり後続馬に交わされます。

いずれにしても、長期距離適性が試されるタフなコースです。

過去10年の天皇賞(春)重賞入賞馬のデータを見たい方はこちら

2020年天皇賞(春)出走表

枠番 馬番 出走馬 馬齢 騎手 生産牧場
所属 母の父 斤量 馬主
1 1 モズベッロ ディープブリランテ 牡4 池添謙一 村田牧場
森田直行 (栗東) Harlan’s Holiday 58kg キャピタル・システム
2 2 エタリオウ ステイゴールド 牡5 川田将雅 ノーザンファーム
友道康夫 (栗東) Cactus Ridge 58kg Gリビエール・レーシング
3 3 トーセンカンビーナ  ディープインパクト 牡4 藤岡康太 社台ファーム
角居勝彦 (栗東) Hawk Wing 58kg 島川隆哉
3 4 ダンビュライト ルーラーシップ 騙4 松若風馬 ノーザンファーム
音無秀孝 (栗東) サンデーサイレンス 58kg サンデーレーシング
4 5 ミッキースワロー トーセンホマレボシ 牡6 横山典弘 野田みづき
菊沢隆徳 (美浦) ジャングルポケット 58kg ノーザンファーム
4 6 スティッフェリオ ステイゴールド 牡6 北村友一 社台ファーム
音無秀孝 (栗東) Mtoto 58kg 社台レースホース
5 7 ユーキャンスマイル  キングカメハメハ 牡5 浜中俊 ノーザンファーム
友道康夫 (栗東) ダンスインザダーク 58kg 金子真人H
5 8 キセキ ルーラーシップ 牡6 武豊 下河辺牧場
角居勝彦 (栗東) ディープインパクト 58kg 石川達絵
6 9 ミライヘノツバサ ドリームジャーニー 牡7 木幡巧也 諏訪牧場
伊藤大士 (美浦) シルバーチャーム 58kg 三島宣彦
6 10 メロディーレーン  オルフェーヴル 牝4 岩田望来 岡田スタッド
森田直行 (栗東) Motivator 58kg 岡田牧雄
7 11 メイショウテンゲン   ディープインパクト 牡4 幸英明 三嶋牧場
池添兼雄 (栗東) フレンチデピュティ 58kg 松本好雄
7 12 シルヴァンシャー ディープインパクト 牡5 M.デムーロ ノーザンファーム
池江泰寿 (栗東) ジェイドハンター 58kg サンデーレーシング
8 13 ハッピーグリン ローエングリン 牡5 和田竜二 社台ファーム
森秀行 (栗東) アグネスタキオン 58kg 会田裕一
8 14 フィエールマン ディープインパクト 牡5 C.ルメール ノーザンファーム
手塚貴久 (美浦) Green Tune 58kg サンデーレーシング

 

勝ち馬予想に役立つ!天皇賞(春)の注目馬分析

フィエールマン

ディープインパクト サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
ウインドインハーヘア Alzao
Burghclere 
リュヌドール Green Tune Green Dancer 
Soundings 
Luth d’Or  Noir Et Or 
Viole d’Amour 

フィエールマンは昨年の天皇賞(春)の優勝馬で、2018年の菊花賞馬。長距離G1を2勝したように距離適性は問題なく、格、実力共に最上位の存在。前走有馬記念からのぶっつけ本番が気になりますが、ほとんどのレースが3か月間隔でポン駆けが利くタイプ。

フィエールマンの父も菊花賞と春の天皇賞を勝っディープインパクト。新馬戦以外菊花賞までの3レースが全て上がり最速。また全9戦中5戦が上がり最速というディープインパクト譲りの末脚を持っています。

フィエールマンの母リュヌドールはフランス生産馬で、イタリア牝馬限定G1リディアテシオ賞の勝ち馬。その父グリーントューンはフランスの2000ギニーの優勝馬で底力があります。ただし共に1600~2000mの馬。つまりフィエールマンはディープインパクトの影響が強い馬と判断できます。

フィールマンの父ディープインパクトはスタミナロスの無い効率の良い走りをしたたため、長距離の菊花賞、天皇賞(春)を制しています。ディープインパクト産駒は基本的にマイルから2400mの重賞で強いのですが、長距離重賞ではやや成績が劣ります。

フィエールマンは父ディープインパクトの血が強く、菊花賞、天皇賞(春)を勝ったのは父と同様に効率の良い走りができるため。実際にフィエールマンは四肢が長く胴回りなどスッキリし、首回りも弾力がありそうな筋肉が付き、効率良いい走りをする馬体です。

絶対的なスタミナがあるわけではないので、スタミナ任せに飛ばす馬がいた場合は得意の差しが届かない可能性があります。今回キセキ以外に長距離実績のあるG1馬がおらず、他もG2クラスなので、基本勝ち負け。

キセキ

ルーラーシップ キングカメハメハ Kingmambo
マンファス
エアグルーヴ トニービン
ダイナカール
ブリッツフィナーレ ディープインパクト サンデーサイレンス
ウインドインハーヘア
ロンドンブリッジ ドクターデヴィアス
オールフォーロンドン 

キセキは2017年の菊花賞馬。2018年の天皇賞 (秋)から国内G1では全て掲示板に載っており、ジャパンカップ、大阪杯、宝塚記念では早いラップで逃げて2着しています。前走阪神大賞典は実績から1番人気に押されましたが、大幅に出遅れ0.6秒差7着に沈んでいます。

キセキの父は良血のルーラーシップ。その父はキングカメハメハですが、母系にスタミナを強化するトニービンが入っているので、産駒は中距離以上から良績を挙げます。また脚質もトニービン譲りで切れるというより、ジワジワ伸びるタイプの産駒が多い印象。

ちなみにルーラーシップも出遅れ癖がありました。

キセキの祖母ロンドンブリッジからオークス馬ダイワエルシエーロ、アーリントンカップを勝ったビッグプラネット、中京記念を勝ったグレーターロンドンが出ており、活力のある母系です。

キセキは菊花賞勝ちと驚異のラップの逃げの印象でスタミナ型の長距離馬と見られてちます。しかし阪神大賞典の時も指摘しましたが、花賞以後前走まで長距離戦には不参加で、実際の良績は2000~2400m。本質は中長距離馬。本格派のステイヤーではありません。

事実、キセキが優勝した菊花賞ではスタミナを温存する差し脚質で勝っています。これはキセキがじわじわと伸びる長い脚を使える馬だから。逃げも、最後の直線で早めスパートして後続を突き放し粘り込む戦法です。切れる脚はありません。

前走の阪神大賞典は大幅な出遅れとハンデ差もあり、また途中2番手まで押し上げるといったスタミナをロスしやすい苦しい展開。ただ他は格下でタミナ豊富なステイヤーなら途中で位置取りを押し上げても、もっと挽回できたはず。

今回は叩き2戦目で調子は上がっきます。長くいい脚を使うタイプなので京都の長い下り坂を利用して加速し突き放す競馬ができれば、勝ち負けできる実力はあります。

ユーキャンスマイル

キングカメハメハ Kingmambo Mr.Prospector 
Miesque 
マンファス ラストタイクーン 
Pilot Bird 
ムードインディゴ ダンスインザダーク サンデーサイレンス
ダンシングキイ
リープフォージョイ Sharpo 
Humble Pie 

ユーキャンスマイルは天皇賞(春)と関連が深い阪神大賞典の優勝馬。2018年の菊花賞ではフィエールマン相手に0.2秒差3着、昨年のダイヤモンドステークス優勝と長距離実績は十分。また挑戦したG1はいずれも掲示板を確保と、非常に高い能力を持っています。

ユーキャンスマイルの父はキングカメハメハですが、基本的にキングカメハメハの血が強いと長距離は走りません。母ムーンインディゴは府中牝馬ステークスの優勝馬で秋華賞とローズステークスで2着している活躍馬です。

母の父に菊花賞馬でダービー2着馬のダンスインザダークが入っており、ユーキャンスマイルはこのダンスインザダークの血が強い馬です。ダンスインザダークはザッツザプレンティ、デルタブルース、スリーロールスと3頭の菊花賞馬を出している文字通りステイヤー。

ユーキャンスマイルの馬体も父キングカメハメハのような筋肉質ではなく、ダンスインザダークと同じく四肢が長くスラッとした体形。

父ダンスインザダークは菊花賞で上がり33.8の末脚で優勝。ユーキャンスマイルも15戦中8戦が上がり最速、他4戦は上がり3番以内と長距離の末脚勝負型。単純に長距離の上がりの時計ではフィエールマンより上です。

昨年の天皇賞(春)ではフィエールマンに1.5秒も離され5着でしたが、今年は休養も十分で馬体を10kg以上成長させています。長距離適性ではフィエールマンとは遜色ないで、勝ち負けを期待できる1頭です。

トーセンカンビーナ

ディープインパクト サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
ウインドインハーヘア Alzao
Burghclere 
カンビーナ Hawk Wing Woodman 
La Lorgnette 
Await  パントレセレブル 
Starring Role 

トーセンカンビーナは前走の阪神大賞典の2着馬で、5番人気ながら優勝したユーキャンスマイルとは0.3秒差昨年秋から本格化し、ここ5戦は全て上がり最速。重賞勝ちこそないものの、いつでも重賞を勝てる実力があることを証明しています。

トーセンカンビーナの父はディープインパクト馬体もディープインパクトと同様に小柄で、末脚からも父の影響の強い馬です。母カンビーナはアメリカンオークスをはじめ重賞3勝の活躍馬。その父ホークウィングもエクリプス賞など短距離から中距離G1を3勝と底力の有る血統。

トーセンカンビーナの血統から見る限り中距離からダービーディスタンスを期待されている馬。回の3200mはやや割引。また前走から3kg増で、負担重量も56kgまでしか経験していないため、58kgの負担重量は小柄な馬体の本馬には堪える可能性も。

父ディープインパクトは効率の良い走りをしたため、斤量負けすることはありませんでしたが、負担重量3kg増はやはり割引。計算上はユーキャンスマイルからさらに0.4秒差離される計算です。

前回も最後方からの競馬だったので、今回も前崩れの展開になれば馬券に絡んでくる可能性はあります。

ミッキースワロー

トーセンホマレボシ ディープインパクト サンデーサイレンス
ウインドインハーヘア
エヴリウィスパー ノーザンテースト
クラフテイワイフ 
マドレボニータ ジャングルポケット トニービン
ダンスチャーマー 
ツィンクルブライド Lyphard
デビルズブライド

ミッキースワローは前走天皇賞(春)のステップレースである日経賞を1番人気で快勝。他にもセントライト記念や七夕賞を勝っている重賞の常連。G1でも大阪杯とジャパンカップで5着、菊花賞でも6着しています。昨年秋から本格化し、重賞路線で安定した成績を収めています。

ミッキースワローの父はディープインパクトを父に持つトーセンホマレボシ。京都新聞杯でレコードを出し、ダービーではディープブリランテに0.1秒差3着と肉薄しましたが、その後故障で引退。半兄に天皇賞(秋)など重賞4勝したトーセンジョーダンがいる良血。

ミッキースワローの祖母ツィンクルブライドは桜花賞2着馬で、子供にデイリー杯2歳ステークス、シンザン記念を勝ち高松宮記念2着だったペールギュントがいます。本質的にはマイラー血統。母マドレボニータの父がジャンブルポケットなので、これがスタミナを補う形。

ミッキースワローの父トーセンホマレボシの母系から重賞勝ち馬が多数出ており、トーセンホマレボシの半兄トーセンジョーダンはジャングルポケットとの配合で、天皇賞(春)でも2。基本的にジャンブルポケットとの配合は相性が良いと思われます。

ミッキースワローも基本的には2000~2400mが適距離で、3000m超のレースはこなせる程度。重賞実績はありますが、上位馬と比べると距離適性では劣ります。他に重賞実績馬が少ないので好走すると思いまが、良くて3着までと判断します。

モズベッロ

ディープブリランテ ディープインパクト サンデーサイレンス
ウインドインハーヘア
ラヴアンドバブルズ Loup Sauvage 
Bubble Dream
ハーランズルビー Harlan’s Holiday  Harlan 
Christmas in Aiken 
Smiling Eyes  Saint Ballado 
Western Lady 

モズベッロは前走の日経賞でミッキースワローの2着。その前走日経新春杯で格上挑戦し52kgのハンデをもらい2着だったため、日経賞では5番人気でしたが、上がり最速を繰り出し2着に0.4秒差を付けて快勝しています。まさに上り馬。末脚は強力です。

モズベッロの父はディープインパクト産駒のダービー馬ディープブリランテ。ディープインパクトと同様に柔らかい筋肉の持ち主で、母系はG1をはじめ中距離の重賞勝ち馬を輩出多数輩出する良血。モズベッロの末脚の原動力はディープインパクト系が伝える柔らかな筋肉から。

モズッベロの母ハーランズルビーはアメリカの中距離ダートG1の2着馬。その父ハーランズホリデーはアメリカの中距離ダートG1を3勝し、ドバイワールドカップ2着の実力馬。父系、母系からが考えてもモズッベロは中距離でこそ実力を発揮できる馬で、今回は長すぎ。

モズッベロの強烈な末脚と爆発力は母系にディープインパクト系と相性が良いストームキャットの血が入っているのと、底力を挙げるヘイロの4×5×5のクロスを持っているため。底力があるので斤量負けはしないと思いますが、負担重量が前走より2kg増えるのはやはり割引。良くて入着までと判断します。

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