ルーラーシップ 予想に役立つ成績・血統・産駒の特徴を解説

私見、種牡馬解説

ルーラーシップは父母にG1馬を持ち、クイーンエリザベス2世カップを制して種牡馬になった良血の種牡馬。

ルーラーシップ産駒の距離適性やコース適性を知るには、ルーラーシップの現役時代の特徴や血統構成、産駒の共通性を知るのが何より重要。種牡馬ルーラーシップの特徴を知ると勝ち馬や穴馬、人気でも惨敗の可能性を予想できるので、ぜひ馬券の検討にお役立てください。

種牡馬ルーラーシップとルーラーシップ産駒の特徴を紹介

ルーラーシップ現役時代の成績

戦績

20戦8勝2着2回(内、海外2戦1勝)

G1及び重賞勝利

G1: クイーンエリザベス2世カップ(香港)

G2: 日経新春杯、金鯱賞、AJCC

G3: 鳴尾記念

ルーラーシップの現役時代の特徴

ルーラーシップは父がNHKマイルカップとダービーの変則2冠を制したキングカメハメハ、母はオークスと天皇賞秋を制したエアグルーヴという超良血。当然ダービーを目指すローテションが組まれ新馬戦は圧勝。2戦目は後の春の天皇賞馬ヒルノダムールに2着します。

しかしその後は発熱やフレグモーネで順調に使えず、皐月賞出走を掛けた毎日杯も惨敗し皐月賞出走の夢は潰えます。次走はダービーの優先出走権が与えられるプリンシパルステークスに参戦、上がり33.7秒の末脚で圧勝します。

しかし本番のダービーでは最後の直線で前が塞がり上がり33.3秒の末脚を繰り出すも5着と残念な結果に終わります。その後は休養に当て、年末のG3鳴尾記念で重賞初制覇。有馬記念にも出走しますが、その年の皐月賞馬ヴィクトワールピサの前に6着と敗退します。

翌年G2日経新春杯33.8秒の末脚で快勝後、続くドバイシーマクラシックでは6馬身差で惨敗。帰国後のG2金鯱賞で勝利し宝塚記念に出走しますが、0.9秒離され5着と惨敗します。秋は爪不安が発生し、出走は有馬記念のみ。長期休養明けも0.2秒差4着と健闘します。

明け5歳は日経賞勝利後に香港のクイーンエリザベス2世カップに参戦し、2着馬に3馬身以上差を付けG1初優勝。しかしその後の宝塚記念から出遅れ癖という気性難が顔を出すようになり、天皇賞、ジャパンカップでも出遅れ。それでも常に強烈な末脚を発揮し2、3、3着と馬券には絡みます。

有馬記念でも出遅れ先頭から10馬身も離されますが、最後は怒涛の追い込みを見せ3着。結局出遅れ癖が治らないのと、キングカメハメハとエアグルーヴの血を継ぐ良血、また常にG1で上位争いできる能力は証明されたので種牡馬として引退します。

 

ルーラーシップ(ミスタープロスペクター系)の血統上の特徴

キングカメハメハ Kingmambo Mr.Prospector 
Miesque 
マンファス ラストタイクーン 
Pilot Bird 
エアグルーヴ トニービン Kampala 
Severn Bridge 
ダイナカール ノーザンテースト
シャダイフェザー 

ルーラーシップの父はキングカメハメハ、エアグルーヴと共に東京のG1を勝利した名馬。さらにエアグルーヴの母のダイナカールもオークス馬。母の父のトニービンも東京競馬場に強い種牡馬で、直線の長いコースで長くいい脚を使う産駒が多い特徴があります。

見ただけでダービーやオークス、ジャパンカップを勝ってくれと言わんばかりの血統です。

父のキングカメハメハは産駒に良質な筋肉と爆発力を伝える力があり、距離適性は母系に影響されます。エアグルーヴの父であるトニービンは母系に入ると産駒にスタミナとパワーを伝える力がります。実際にルーラーシップも2000~2500mを中心に走っています。

エアグルーヴはルーラーシップ以外にも、サンデーサイレンスを父に持つアドマイヤグルーヴがエリザベス女王杯勝ち、ダンスインザダークを父に持つフォゲッタブルがステイヤーズステークスやダイヤモンドステークスを勝利し、繁殖牝馬とし優れた結果を出しています。

またエアグルーヴの母ダイナカールからも高松宮記念を勝ったオレハマッテルゼ、阪神牝馬特別勝ちのエガオヲミセテなど活躍馬をい輩出。非常に活力のある母系です。

ルーラーシップの馬体は母のエアグルーヴやその父のトニービンの影響が強く、四肢が長く全体的に薄くすらっとした作り。ただし筋肉はキングカメハメハの血が出ており、首や胸板、トモの筋肉は良く発達し、これが爆発的な末脚に直結しています。

ルーラーシップは父系、母系共にサンデーサイレンスの血を持たないため、サンデーサイレンス系の良質な牝馬を付けらえるメリットがあります。さらに、父系、母系とも血の影響力が強く、どちらの血が濃く出ても良く走る産駒が予想されます。

実際に重賞で勝ち負けしているルーラーシップ産駒はサンデーサイレンス系やクロフネなどを母の父に持っています。やはりルーラーシップはサンデーサイレンス系牝馬と相性抜群です。

ルーラーシップ産駒の特徴

良血でサンデーサイレンス系の血を持たないルーラーシップは初年度から毎年200頭以上もの繁殖牝馬に種付けされています。

初年度産駒から菊花賞馬のルーラーシップを出しており、AJCCと京都記念を勝ったタンビュライト、青葉賞とセントライト記念を勝ったリオンリオンなどを輩出しています。ただ、種付けする繁殖牝馬の質の割に、まだ活躍馬が少ない印象。

条件別勝利数及び勝率

種牡馬名 重賞 特別 平場
出走数 勝利数 勝率 出走数 勝利数 勝率 出走数 勝利数 勝率
ルーラーシップ 171 14 0.082 612 72 0.118 2860 254 0.089
キングカメハメハ 1378 117 0.085 5287 537 0.102 11884 1242 0.105

2020.3現在

ルーラーシップは、条件戦までの勝率は他の優良な種牡馬とさほど変わりありません。しかしある程能力馬が淘汰されるオープンクラスで勝率が上がります。重賞の勝率は父キングカメハメハと遜色なく、その能力を十分に伝えていると判断できます。

芝コース距離別勝率及び複勝率

距離(芝) ~1400m ~1800m ~2200m ~2600m 2600m以上
種牡馬名 勝率 複勝率 勝率 複勝率 勝率 複勝率 勝率 複勝率 勝率 複勝率
ルーラーシップ 0.088 0.252 0.107 0.131 0.109 0.287 0.146 0.310 0.071 0.214
キングカメハメハ 0.084 0.257 0.105 0.292 0.108 0.283 0.110 0.281 0.047 0.172


2020.3現在

また芝コースは短距離はそこそこ走るものの、マイル近辺は苦手な印象。ところが中距離以上では勝率や複勝率が再び向上します。

これは短距離が得意なルーラーシップ産駒はその父のキングカメハメハが強く出てダッシュ力に必要な筋力を引き出し、中距離以上が得意な産駒は母系にあるトニービンの影響が強く出でスタミナが強化されるからだと思われます。

ダートコース距離別勝率及び複勝率

距離(ダート) ~1400m ~1800m ~2200m
種牡馬名 勝率 複勝率 勝率 複勝率 勝率 複勝率
ルーラーシップ 0.063 0.216 0.080 0.225 0.127 0.300
キングカメハメハ 0.086 0.257 0.111 0.296 0.055 0.629

                                        2020.3現在

ルーラーシップは芝馬ですが、印象と違いダートはマイル以上で良く走ります。実際父のキングカメハメハは種牡馬としてダート馬を多く輩出し、母の父のトニービンもブルードメサイヤーとしてダートに必要なスタミナとパワーを産駒に伝えます。

ルーラーシップの父キングカメハメハはスタミナが唯一の弱点ですが、ルーラーシップの場合は血統内にあるトニービンがそのスタミナを補っています。そのためダートの中距離戦では父以上に勝ち切ります。

ルーラーシップ産駒はルーラーシップやその父キングカメハメハのような爆発的な瞬発力で勝負する産駒は少数。どちらかというと母の父のトニービン産駒に多い持続するスピードでじわじわ伸びる産駒が多い傾向です。

そのため基礎能力が高くても最後に瞬発力が決め手となる重賞などで取りこぼしが多くなります。代表産駒のキセキのようにG1でいい勝負をするものの、優勝馬の引き立て役になるような産駒が多い印象です。

ルーラーシップの代表産駒

母の父にディープインパクトを持つ菊花賞馬のキセキが代表産駒。他にもメールドグラースがオーストラリアの芝2400mのハンデキャップG1コーフィールドカップを制しています。

キセキ (菊花賞)

メールドグラース(豪コーフィールドカップ)

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コメント

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