2020年第25回G3エルムステークス予想 注目出走馬分析

重賞レースの注目馬分析

前走2年7カ月ぶりにダートで勝利を挙げたホープフルステークス馬タイムフライヤーが出走する今年のエルムステークス。マイルG1を2着2回で重賞3勝のエアスピネル、一昨年のエルムステークス優勝馬ハイランドピークなど、例年になく豪華なメンバーが出走します。エルムステークス出走登録馬の中から有力馬をピックアップし、馬券になるか分析します。

2020年エルムステークスの注目馬を分析!

エルムステークスの特徴

G3エルムステークスは第1回札幌開催6日目に行われる3歳以上ダート1700mの別定戦。基本負担重量は3歳牡・騙馬53kg、同牝馬51kg。4歳以上牡・騙馬56kg、同牝馬54kg。過去の重賞勝利により負担重量が異なり1年以内のG1勝利馬3kg増、G2および牝馬限定G1勝利馬22kg増、G3及び牝馬限定G2勝利馬1kg増。1年以上前のG1勝利馬2kg増、G2及び牝馬限定G1勝利馬1kg増。

国際競争に指定され、外国調教馬は7頭まで優先出走可能。また地方所属馬は3頭まで出走登録できます。

中央、地方とも重賞競走が少ない夏に開催される貴重なダート重賞ですが、この時期主要レースが無いため有力馬は休養中。そのため実力馬の出走が少なく、これから重賞で除外対象にならないため賞金を加算したいオープンや条件馬の活躍が目立つレースです。

過去10年のエルムステークス入賞馬のデータを見たい方はこちら

2020年エルムステークス出走表

枠番 馬番 出走馬 馬齢 騎手 生産牧場
所属 母の父 斤量 馬主
1 1 ヒラボクラターシュ キンシャサノキセキ 牡5 横山武史 辻牧場
大久保龍 (栗東) ワイルドラッシュ 56kg 平田牧場
2 2 エアスピネル キンングカメハメハ 牡7 武豊 社台ファーム
笹田和秀 (栗東) サンデーレーシング 56kg ラッキーフィールド
3 3 サトノティターン シンボリクエスエス 牡7 藤岡康太 ノーザンファーム
堀宣行 (美浦) Deputy Minister 56kg 里見治紀
3 4 ワンダーリーデル スタチューオブリバティ 牡7 横山典弘 大島牧場
安田翔伍(栗東) マヤノトップガン 57kg 山本能成
4 5 アディラート ルーラーシップ 牡6 吉田隼人 タガミファーム
須貝尚介 (栗東) マンハッタンカフェ 56kg 安原浩司
4 6 リアンヴェリテ ゴールドアリュール 牡6 国分恭介 ノースヒルズ
中竹和也 (栗東) Cozzene 56kg 加藤誠
5 7 ワイルドカード ストリートセンス 牡6 北村宏司 ダーレー・ジャパン・F
木村哲也 (美浦) Unbridled’s Song 56kg ゴドルフィン
5 8 ウェスタールンド ネオユニヴァース 騙8 藤岡佑介 ノーザンファーム
佐々木晶 (栗東) Marquetry 57kg サンデーレーシング
6 9 ロードゴラッソ ハーツクライ 牡5 池添謙一 ケイアイファーム
藤岡健一 (栗東) Kingmambo 57kg ロードホースクラブ
6 10 アナザートゥルース アイルハヴアナザー 騙6 大野拓弥 岡田スタッド
高木登 (美浦) フジキセキ 58kg ノルマンディーTR
7 11 アルクトス アドマイヤオーラ 牡5 田辺裕信 須崎牧場
栗田徹(美浦) シンボリクエスエス 56kg 山口巧一郎
7 12 ハイランドピーク  トーセンブライト 牡6 横山和生 エスティファーム
土田稔 (美浦) ゼンノロブロイ 56kg 島川隆哉
8 13 タイムフライヤー ハーツクライ 牡5 C.ルメール 白老ファーム
松田国英 (栗東) ブライアンズタイム 56kg サンデーレーシング
8 14 バスカヴィル Bernardini 牡6 浜中俊 ゴドルフィン
加藤征弘 (美浦) Distorted Humor 56kg TenthSt.Stables LLC & D

勝ち馬予想に役立つ!エルムステークスの注目馬分析

タイムフライヤー

ハーツクライ サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
アイリッシュダンス トニービン
ビューパーダンス
タイムトラベリング ブライアンズタイム Roberto
Kelley’s Day
ジョリーザザ Alzao
Bold Lady

タイムフライヤーは2017年度のホープフルステークスの優勝馬。以後、勝ち星から見放され、前走ダートオープンのマリーンステークスで2年7か月ぶりの勝利を飾っています。昨年のエルムステークスからダート路線に変更しており、武蔵野ステークスでは0.2秒差2着、フェブラリーステークスでも5着しています。

タイムフライヤーの父は芝の長距離馬を多く輩出するハーツクライ。父に似るとダートは苦手。母タイムトラベリングはダート中距離1勝馬で、母の全兄にダートG1を5勝のタイムパラドックス。母の父ブライアンズタイムが芝・ダート兼用種牡馬なので、タイムトラベラーのダート適性は母系から。

タイムトラベラーは血統内にヘイルトゥリーズンの4×4、リファールの4×4という濃いクロスを持っています。能力は高い一方で、ヘイルトゥリーズンが勝負根性と共に気性難を伝えるので成績が安定しない印象です。

エルムステークスと関連性の高いマリーンステークスを2着に0.6秒差を付けて圧勝し、前走より負担重量が1kg軽くなるので人気になりそうです。しかし、軸にするには血統背景や過去の成績に不安定さからも疑問。基本的な能力は足りているので抑えまでの判断です。

エアスピネル

キングカメハメハ Kingmambo Mr.Prospector
Miesque
マンファス ラストタイクーン
Pilot Bird
エアメサイア サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
エアデジャヴー ノーザンテースト
アイドリームドアドリーム

エアスピネルは1年ぶりの出走となった前走プロキシオンステークスを0.3秒差で2着。これまでも芝の重賞を3勝、朝日フューチュリティステークス、マイルチャンピオンシップと両G1で2着しているように、本来は芝で一級線の実力を持った馬です。

エアスピネルの父は芝・ダート共に一流馬を送り出すキングカメハメハ。母エアメサイアは秋華賞馬でオークス、ヴィクトリアマイルでも2着している実力馬。その母エアデジャヴーもクラッシックで勝ち負けを繰り返していたので牝系の能力も確かな良血です。

エアスピネルは血統内にノーザンダンサーの5×5×4の濃いクロスを持っており、高い成長力を持っています。1年休養に当てているので、7歳になった現在でもG3クラスなら勝ち負けできる能力はあるでしょう。

基本的に一族は芝で活躍しており、力が必要なダートは本来不向き。前走のプロキシオンステークスは脚抜きの良い稍重で、能力は一級品のエアスピネルならこなせた印象。ダート一級線の1着馬サンライズノヴァとは3kg差があり、同斤量なら1秒近く離されていた計算です。

また前走のプロキシオンステークスは他にダートの一級線は参戦しておらず、手薄なメンバーでの2着。今回は相手も強化されます。馬場が脚抜きの良くなる稍重以上に悪化すれば出番はあるかもしれませんが、良馬場なら馬券にならない公算が大です。

ウェスタールンド

ネオユニヴァース サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
ポインテッドパス Kris
Silken Way
ユーアンミー Marquetry Conquistador Cielo
Regent’s Walk
Archimillionnaire Medaille d’Or
Conqueluche

ウェスタールンドは前走ダート1800mG3アンタレスステークスを優勝。2018年のダートG1チャンピオンズカップでは2着、他にもシリウスステークスやダイオライト記念で2着するなど、ダートの中長距離重賞で勝ち負けできる実力がある馬です。

ウェスタールンドの父は皐月賞・ダービーのクラッシック2冠馬ネオユニヴァース。種牡馬としてはヴィクトワールピサ、ロジユニヴァースなど4頭のG1馬を送り出しています。母ユーアンミーは米国産で海外のダート重賞をはじめ5勝しています。

ウェスタールンドの母の父マーケトリーは米国の中距離G1を3勝した他10勝を挙げた活躍馬。父ネオユニヴァースは母系の血を引き出す種牡馬なので、ウェスタールンドはマーケトリーの血を濃く引き継いだ印象です。

8歳馬ですが数を使っておらず、前走・前々走とも上がり最速だったようにG3、G2クラスならまだまだやれる実力を秘めています。ただし後方一気の馬なので小回りの札幌は不利。小回りの船橋で2着していますが、勝ち馬には0.4秒差を付けられています。抑えまでの評価です。

アナザートゥルース

アイルハヴアナザー Flower Alley Distorted Humor
プリンセスオリビア
Arch’s Gal Edith Arch
Force Five Gal
キョウエイトルース フジキセキ サンデーサイレンス
ミルレーサー
キョウエイヨシノ プラウドデボネア
キョウエイミート

アナザートゥルースはアンタレスステークスとダイオライト記念のダート重賞を2勝。前走、前々走でウェスタールンドと対戦しており1勝1敗。ただし、前走はウェスタールンドよりハンデが2kgも重く、同斤量ならアナザートゥルースの方が実力上位と言えます。

アナザートゥルースの父アイルハヴアナザーはアメリカの3冠クラシックロードの2冠馬。芝重賞で入着する産駒も出しますが、勝ち切るのはダート。

アナザートゥルース母キョウエイトルースはダートの優良馬を多く輩出し、アナザートゥルースの半兄には2016年度のJRA最優秀ダートホースのサンドトゥルーやG3佐賀記念勝ちルールソヴァールがいます。そのためアナザートゥルースもダートの優良馬になる能力を秘めています。

アナザートゥルースはダート重賞を9戦連続で参戦していますが、掲示板を外したのはわずか1回。G1の川崎記念でも5着しています。先行脚質で小回りの札幌コースも有利です。今回もトップハンデの58kgがネックです。しかしメンバーから見ても勝ち負けできる馬と判断できます。

ハイランドピーク

トーセンブライト ブライアンズタイム Roberto
Kelley’s Day
アサヒブライト ジェイドロバリー
コスモローマン
ハイランドダンス ゼンノロブロイ サンデーサイレンス
ローミンレイチェル
ルカダンス ヘクタープロテクター
ダンスダンスダンス

ハイランドピークは2018年のエルムステークスの優勝馬。昨年の同レースでも2着しており、札幌のダートなど右回りで小回りのコースは得意です。今年も9カ月ぶりの出走となる函館の大沼ステークスを叩いて3着と、エルムステークスに標準を合わせたローテションです。

ハイランドピークの父トーセンブライトはG1勝ちこそありませんが、ダート重賞4勝の活躍馬。父ブライアンズタイム、母の父ジェイドロバリーとバリバリのダート血統です。ただしトーセンブライト自身は短めマイルのダート戦を得意な馬でした。

ハイランドピークの母ハイランドダンスは未勝利馬。近親にG3毎日杯勝ちのアインルック、2017年度NARグランプリ最優秀牝馬に輝いたステップオブダンスがおり、母系の質は悪くありません。

先行脚質で札幌コースと相性が良く昨年、一昨年とエルムステークスで勝ち負けしています。しかし、今年は例年になくメンバーが強力。抑えまでの評価です。

アルクトス

アドマイヤオーラ アグネスタキオン サンデーサイレンス
アグネスフローラ
ビワハイジ Caerleon
アグサン
ホシニイノリヲ シンボリクリスエス Kris S.
Tee Kay
コンキスタドレス Seeking the Gold
Bless You

アルクトスは昨年のプロキオンステークスの優勝馬。同年の盛岡マイルチャンピオンシップでも2着し、前走のJRAのG1馬が名を連ねた船橋G1かしわ記念でもルヴァンスレーヴ、モズアスコットに先着し4着しています。

アルクトスの父アドマイヤオーラはG1未勝利ですが、父アグネスタキオン、母ビワハイジという良血が買われ種牡馬になった馬。自身や両親が芝馬だったにも関わらず、アドマイヤオーラ産駒はほぼダート馬。これは父のアグネスタキオンの影響で、アグネスタキオンもダート馬を多く輩出します。

アルクトスの母ホシニイノリヲはダート1800mを1勝したのみですが、その母コンキスタドレスは米国ダートG1でも2着したことがある活躍馬。母の父シンボリクリスエスもダート中距離馬を多く輩出するのでダートを走る下地は整っています。

基本的にダートのマイラーで過去の成績から距離に限界があります。しかし、条件戦ですが1700mで勝利を挙げたこともありエルムステークスはぎりぎり守備範囲。強力メンバーと五分に渡り合える実力がありながら今回はハンデ56kgと恵まれた印象です。

直線の長い東京マイルでも先行して押し切る力もあり、小回りの札幌コースは有利。ぜひ馬券に入れておきたい1頭です。

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