弥生賞3着で皐月賞の出走権を得ながら敢えてパスしてダービーに駒を進めたいオーソリティ、ディープインパクト産駒で2億円の高馬サトノフウジンが参戦する今年の青葉賞。青葉賞出走馬登録馬の中から注目馬をピックアップし、勝ち負けできるか分析します。
2020年青葉賞の注目馬を分析!
青葉賞の特徴
G2青葉賞は第2回東京開催3日目に行われる3歳限定芝2400mの馬齢定量戦です。負担重量は牡馬・騙馬は56kg、牝馬は54kg。ダービーのトライアルレースで、2着までにダービーの優先出走権が与えられます。国際競争で外国調教馬の出走も可能です。
ダービーと同じ距離、コースなので馬の適性を測るには最適なレースです。しかし第1回が施行以降、青葉賞からダービー馬は出ていません。これはまだ成長段階の牡馬にとって2400mは長距離に相当し、本番のダービーまでに疲労が回復しないからだと言われています。
過去の青葉賞の勝ち馬の中にはシンボリクリスエス、ゼンノロブロイ、フェノーメノなど古馬の中長距離G1を複数勝つ馬も輩出しているので、出走馬のレベルが低いわけではありません。
人気と馬券の傾向
過去10年の成績では、1番人気は4-2-3-1、勝率4割、連対率6割、複勝率9割と馬券になります。2番人気0-1-1-8、3番人気0-0-2-8と、こちらは信用できません。また2桁人気が馬券なったのは2年だけで、あまり大穴も期待できません。馬券は1番人気に4~9番人気を絡めるのが妙味。
血統と馬券の傾向
種牡馬では馬券になった30頭中70%は、父がサンデーサイレンス系。ディープインパクト9頭、ゼンノロブロイ5頭、ハーツクライ3頭、ステイゴールド2頭とサンデーサイレンス系でも持続する長い脚を使える種牡馬がほとんど。
サンデーサイレンス系以外ではキングカメハメハが3頭と最多。これで全体の80%を占めます。
前走と馬券の傾向
過去10年で、優勝馬の6割が前走500万下(現在の1勝クラス)からの挑戦で、その内5勝が500万下を勝って来ています。また馬券に絡んだ30頭中21頭が前走500万下からで、内18頭が前走1着。
その他では皐月賞組が3頭絡んでおり、こちらは前走1桁人気で1桁着順が条件。他の重賞からの挑戦も同様で、ダービーチャレンジのためには前走負けたなりにそれなりに力が必要です。
このため、馬券的には前走1勝クラスの勝ち馬で、サンデーサイレンス系の父を持つ馬を選ぶのがセオリーです。
青葉賞のレース及びコースの攻略法
青葉賞はダービーと同じ東京芝2400mを使用。スタートはスタンド手前、ホームストレッチの登り坂の中間地点から。スタート後、ある程度直線があるので先行争いにはならず、さらにコーナーを4つ回るためペースも落ち着き気味。
2開催芝を休めた第3日目なので芝の状態が良く、多少雨が降ってもパワーは不要。3歳のこの時期では2400mは感覚的に長距離に相当し、本番のダービーまで疲労を残したくないという思惑が働きます。そのため走破タイムは遅く、基本的に直線ヨーイドンの競馬。
馬券に絡んだ30頭中19頭がホームストレッチまでの位置取りは6番手以下です。良馬場なら上がり34秒前半の時計を出せないと馬券になりません。
2020年青葉賞出走表
枠番 | 馬番 | 出走馬 | 父 | 馬齢 | 騎手 | 生産牧場 |
所属 | 母の父 | 斤量 | 馬主 | |||
1 | 1 | フィリオアレグロ | ディープインパクト | 牡3 | D.レーン | ノーザンファーム |
堀宣行 (美浦) | Rossini | 56kg | サンデーレーシング | |||
1 | 2 | アラタ | キングカメハメハ | 牡3 | 大野拓弥 | 社台ファーム |
和田勇介 (美浦) | ハーツクライ | 56kg | 村田能光 | |||
2 | 3 | オーソリティ | オルフェーヴル | 牡3 | L.ヒューイットソン | ノーザンファーム |
木村哲也 (美浦) | シンボリクリスエス | 56kg | シルクレーシング | |||
2 | 4 | ブルーミングスカイ | ディープインパクト | 牡3 | 北村宏司 | 社台ファーム |
角居勝彦 (栗東) | ファルブラブ | 56kg | 島川隆哉 | |||
3 | 5 | ディアマンミノル | オルフェーヴル | 牡3 | 蛯名正義 | 村下農場 |
本田優 (栗東) | デヒア | 56kg | 吉岡實 | |||
3 | 6 | レアリザトゥール | スクリーンヒーロー | 牡3 | 武士沢友治 | チャンピオンズファーム |
小手川準 (美浦) | ブライアンズタイム | 56kg | 京都ホースレーシング | |||
4 | 7 | ヴァルコス | ノヴェリスト | 牡3 | 三浦皇成 | ノーザンファーム |
友道康夫 (栗東) | ダンスインザダーク | 56kg | 佐々木主浩 | |||
4 | 8 | アピテソーロ | ブラックタイド | 牡3 | 江田照男 | 追分ファーム |
奥平雅士 (美浦) | サクラバクシンオー | 56kg | 了徳寺健二H | |||
5 | 9 | アイアンバローズ | オルフェーヴル | 牡3 | 武藤雅 | ノーザンファーム |
角居勝彦 (栗東) | Royal Anthem | 56kg | 猪熊広次 | |||
5 | 10 | ダノンセレスタ | ハーツクライ | 牡3 | 丸山元気 | ノーザンファーム |
音無秀孝 (栗東) | Jump Start | 56kg | ダノックス | |||
6 | 11 | フィロロッソ | ハービンジャー | 牡3 | 田中勝春 | 社台ファーム |
中竹和也 (栗東) | シンボリクリスエス | 56kg | 社台レースホース | |||
6 | 12 | メイショウボサツ | エピファネイア | 牡3 | 吉田豊 | 田中スタッド |
西浦勝一 (栗東) | マイネルラブ | 56kg | 松本好雄 | |||
7 | 13 | ロールオブサンダー | エピファネイア | 牡3 | 田辺裕信 | 千代田牧場 |
橋口慎介 (栗東) | アドマイヤムーン | 56kg | 桑畑隆信 | |||
7 | 14 | サーストンカイドー | エピファネイア | 牡3 | 内田博幸 | グランド牧場 |
橋田満 (栗東) | アドマイヤムーン | 56kg | 齊藤宣勝 | |||
7 | 15 | フライライクバード | スクリーンヒーロー | 牡3 | 福永祐一 | 白老ファーム |
友道康夫 (栗東) | シンボリクリスエス | 56kg | 窪田芳郎 | |||
8 | 16 | プリマヴィスタ | ハーツクライ | 牡3 | 石川裕紀人 | 白老ファーム |
矢作芳人 (栗東) | クロフネ | 56kg | 加藤裕司 | |||
8 | 17 | ディアスティマ | ディープインパクト | 牡3 | 津村明秀 |
ノーザンファーム |
高野友和 (栗東) | ストリートセンス | 56kg | サンデーサイレンス | |||
8 | 18 | コンドゥクシオン | ダイワメジャー | 牡3 | 石橋脩 |
坂東牧場 |
中舘英二 (美浦) | トニービン | 56kg | 吉田勝己 |
勝ち馬予想に役立つ!青葉賞の注目馬分析
オーソリティ
オルフェーヴル | ステイゴールド | サンデーサイレンス |
ゴールデンサッシュ | ||
オリエンタルアート | メジロマックイーン | |
エレクトロアート | ||
ロザリンド | シンボリクエスエス | Kris S. |
Tee Kay | ||
シーザリオ | スペシャルウィーク | |
Kirov Premiere |
オーソリティは前走皐月賞トライアルの弥生賞3着馬。皐月賞の出走権を確保しながら、早々と皐月賞を回避しダービートライアルのここを目標にしているところに、陣営のダービーに向ける情熱が感じられます。
オーソリティの父はクラシック三冠馬でグランプリと併せて6冠馬のオルフェーヴル。初年度産駒に皐月賞馬でダービーでも2着したエポカドーロがおり、距離、クラシックに合わせた成長力など問題はありません。
オーソリティの母ロザリンドは未勝利馬ながら、全兄は菊花賞、ジャパンカップを勝ち種牡馬のエピファネイア。
半弟に父キングカメハメハで朝日杯フューチュリティステークス優勝のリオンディーズ、父ロードカナロアでホープフルステークスと皐月賞を勝ったサートゥルナーリアがいる良血。
祖母は日米オークスを勝ったシーザリオ、母の父も青葉賞を勝ち天皇賞秋と有馬記念を連覇したシンボリクリスエスと、距離、コースとも東京芝2400m向きの血統背景です。
血統内にサンデーサイレンスの3×4、ノーザンテーストの5×4、ヘイルトゥリーズンの5×5、ノーザンダンサーの5×5というそれぞれ日本で成功しているクロスを持ち、成長力と爆発力を秘めた配合です。
前走の弥生賞では重馬場で上がりは遅め。しかし2歳時に中山芝2000mのオープン戦で上がり33.9秒を出しているように、瞬発力勝負も可能で前に行ける脚もあります。実績上位ですが3着までに入らないとダービーに出走できないため、ここはきっちり仕上げてきて勝ち負け。
フライライクバード
スクリーンヒーロー | グラスワンダー | Silver Hawk |
Ameriflora | ||
ランニングヒロイン | サンデーサイレンス | |
ダイナアクトレス | ||
シングライクバード | シンボリクリスエス | Kris S. |
Tee Kay | ||
シングライクトーク | ノーザンテースト | |
フリートーク |
フライライクバードは5戦2勝。全5戦を1番人気に押されている期待馬です。未勝利戦、勝クラスを共に芝2400mで連勝。ここ3戦は全て上がり最速と連勝がフロックで無いことを証明しています。
フライライクバードの父はジャパンカップ優勝馬のスクリーンヒーロー。少ない交配数の中からモーリスとゴールドアクターの2頭のG1馬を輩出。重賞勝ち馬もコンスタントに各年代からコンスタントに出しています。
フライライクバードの母シングライクバードは3歳時にフラワーカップを3着し、古馬になってからオープンまで出世。フライライクバードの半姉でマンハッタンカフェを父に持つシングウィズジョイはフローラステークス、ターコイズSと重賞2勝、エリザベス女王杯で2着しています。
血統内にノーザンテーストの4×3、ロベルトの4×4×5、ノーザンダンサーの5×54、ヘイルトゥリーズンの5×5×5という非常に濃いクロスを持っています。特にロベルトのクロスがこの馬のスタミナと爆発力に繋がっています。
父はジャパンカップ勝ち、母の父シンボリクリスエスはこの舞台を勝っているので東京の2400mは問題ありません。データ的にも1番人気で1勝クラスを勝ち上がって青葉賞に挑戦する馬の優勝率も高いので、ここは勝ち負けを期待できます。
フィリオアレグロ
ディープインパクト | サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | ||
ウインドインハーヘア | Alzao | |
Burghclere | ||
ジョコンダII | Rossini | Miswaki |
Touch of Greatness | ||
La Joconde | Vettori | |
Lust |
フィリオアレグロは前走共同通信杯を2番人気で3着。ただし1、2着馬とは0.7秒差離されています。また同レースの勝ち馬ダリントンホールは皐月賞に駒を進めましたが、優勝馬に1.1秒は離されているので、このレースのレベルはかなり疑問。
フィリオアレグロの父はディープインパクト。過去10年間に青葉賞に馬券の絡んだ馬の実に3割はディープインパクト産駒ので、この舞台の相性は悪くありません。
フィリオアレグロの母ジョコンダIIからモンジューを父に持ち宝塚記念、香港ヴァースを勝ったサトノクラウンがいます。ただこの母系はディープインパクトとの相性は悪いようで大抵1、2勝止まり。
半兄サトノクラウンと血統内のクロス構成は似ています。しかし、サトノクラウンの血統内には底力をアップするバックパッサーがありましたが、フィリオアレグロはありません。
もちろん2戦ともディープインパクト産駒の特性が活かせない重、稍重だったため、良馬場なら見直す価値はあります。ただし、上記の内容から軸には難しく、連下までと考えます。
サトノフウジン(不出走)
ディープインパクト | サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | ||
ウインドインハーヘア | Alzao | |
Burghclere | ||
コンテスティッド | Ghostzapper | Awesome Again |
Baby Zip | ||
Gold Vault | Arch | |
Questress |
サトノフウジンはセレクトセールで2億円の値が付いた高馬で3戦2勝。前走東京芝2000mの1勝クラスを2番人気で勝ち上がっています。前走は上がり最速、3戦とも上がり3位以内です。
サトノフウジンの父は東京芝2400mの舞台に強いディープインパクト。母コンテスティッドはアメリカのダートマイルG1を2勝。その父ゴーストザッパーはアメリカのブリダーズカップ・クラシックを含めダートG1を6連勝した快速馬。
サトノフウジンの全兄に中日新聞杯を勝ち、NHKマイルカップを勝ったギベオンがいます。5先までにクロスを持たないアウトブリードで、サトノフウジンもギベオンと同じ性質を引き継いでいると思われます。
未勝利戦の1600m、1800mでは33.7、34.1と早い上がりを繰り出していますが、前走の2000mでは上がり最速も36.3秒と距離が長くなるほど末脚が甘くなっています。母系を考えてもベストはマイル前後で2400mは長すぎ。
もちろん、今回ディープインパクトの血が強く出れば2400mをこなせる可能性は十分あります。血統的に不確定要素が大きいので軸にはできませんが、連下なら十分可能性がある一頭です。
ヴァルコス
ノヴェリスト | Monsun | Königsstuhl |
Mosella | ||
Night Lagoon | Lagunas | |
Nenuphar | ||
ランズエッジ | ダンスインザダーク | サンデーサイレンス |
ダンシングキイ | ||
ウインドインハーヘア | Alzao | |
Burghclere |
ヴァルコスは5戦2勝。前走阪神芝2400m1勝クラスのゆきやなぎ賞を2着に0.3秒差を付けて快勝しています。また5戦共に上がりは3位以内で、前走は上がり最速。
ヴァルコスの父ノヴェリストはドイツダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスなど欧州の芝2400mのG1を4勝。キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスではハービンジャーのレースレコードを更新しています。
ヴァルコスの母ランズエッジは未勝利ながら、祖母のウインドインハーヘアはディープインパクトの母。近親にはダービー馬レイデオロ、帝王賞のゴルドブリッツなどの活躍馬が出ています。また母の父はダービー2着で菊花賞馬のダンスインザダークなので、2400mの距離は歓迎の口。
またヴァルコスは血統内に英国クラッシク3冠馬のニジンスキー、ドイツチェスダービーを7馬身差で圧勝したズリムーのクロスを持っています。
父のノヴェリストが京成杯勝ちのラストドラフト以外これといった勝ち馬を出していないため人気が無いと思われますが、血統的に適距離で競争能力は高いので穴馬として馬券に入れたい1頭です。
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