2023年宝塚記念の注目馬を分析!
宝塚記念の特徴
GⅠ宝塚記念は第3回阪神開催6日目に行われる芝2200mの馬齢定量戦です。負担重量は3歳牡・騙馬53kg、同牝馬51kg、4歳以上牡馬58kg、同牝馬56kg。
秋競馬の有馬記念と同様に出走馬はファン投票で決まり、ファン投票の上位10位以内なら優先的に出走できます。それ以外は通算収得賞金+過去1年の収得賞金+過去2年のGⅠでの収得賞金の総額が高い順に出走ができます。また国際競走に指定され、外国調教馬は最大8頭まで優先出走権が与えられます。
優勝馬には同年米国ブリダーズカップ・チャレンジ、豪州のコックスプレートへの優先出走権が授与されます。2019年にはリスグラシューがこの優先出走権を使い、コックスプレートも優勝しています。
大阪杯、天皇賞春と共に春の古馬三冠レースの最終戦ですが、馬が苦手な高温多湿の雨季開催のため、ファン投票で選出されても馬の体力消耗を嫌う陣営は出走を辞退するケースが多いレース。そのため有馬記念に比べ盛り上がりに欠けます。
ちなみに秋の古馬三冠(天皇賞秋、ジャパンカップ、有馬記念)は過去にテイエムオペラオーとゼンノロブロイが達成していますが、春の古馬三冠レースはまだ1頭も達成していません。
2023年宝塚記念出走表
枠番 | 馬番 | 出走馬 | 父 | 馬齢 | 騎手 | 生産牧場 |
所属 | 母の父 | 斤量 | 馬主 | |||
1 | 1 | ライラック | オルフェーヴル | 牝4 | M.デムーロ | 杵臼牧場 |
相沢郁 (美浦) | キングカメハメハ | 56kg | 芹澤精一 | |||
1 | 2 | カラテ | トゥザグローリー | 牡7 | 菅原明良 | 中地康弘 |
高橋祥泰 (美浦) | フレンチデピュティ | 58kg | 小田切光 | |||
2 | 3 | ダノンザキッド | ジャスタウェイ | 牡4 | 北村友一 | ノーザンファーム |
安田隆行 (栗東) | Dansili | 58kg | ダノックス | |||
2 | 4 | ボッケリーニ | キングカメハメハ | 牡7 | 浜中俊 | ノーザンファーム |
池江泰寿 (栗東) | ダンスインザダーク | 58kg | 金子真人H | |||
3 | 5 | イクイノックス | キタサンブラック | 牡4 | C.ルメール | ノーザンファーム |
木村哲也 (美浦) | キングヘイロー | 58kg | シルクレーシング | |||
3 | 6 | スルーセブンシーズ | ドリームジャーニー | 牝5 | 池添謙一 | ノーザンファーム |
尾関知人(美浦) | クロフネ | 56kg | キャロットファーム | |||
4 | 7 | プラダリア | ディープインパクト | 牡4 | 池添謙一 | オリエント牧場 |
池添学(栗東) | クロフネ | 58kg | 名古屋友豊 | |||
4 | 8 | ヴェラアズール | エイシンフラッシュ | 牡6 | 菱田裕二 | 白老ファーム |
渡辺薫彦 (栗東) | クロフネ | 58kg | キャロットファーム | |||
5 | 9 | ジャスティンパレス | ディープインパクト | 牡4 | 鮫島克駿 | ノーザンファーム |
杉山晴紀(栗東) | Royal Anthem | 58kg | 三木正浩 | |||
5 | 10 | ディープボンド | キズナ | 牡6 | 和田竜二 | 村田牧場 |
大久保龍(栗東) | キングヘイロー | 58kg | 前田晋二 | |||
6 | 11 | ジェラルディーナ | モーリス | 牝5 | 武豊 | ノーザンファーム |
斉藤崇史 (栗東) | ディープインパクト | 56kg | サンデーレーシング | |||
6 | 12 | アスクビクターモア | ディープインパクト | 牡4 | 横山武史 | 社台ファーム |
田村康仁 (美浦) | Rainbow Quest | 58kg | 廣崎利洋HD | |||
7 | 13 | ジオグリフ | ドレフォン | 牡4 | 岩田望来 | ノーザンファーム |
岩戸孝樹(美浦) | キングカメハメハ | 58kg | サンデーレーシング | |||
7 | 14 | ブレークアップ | ノヴェリスト | 牡5 | 川田将雅 | 谷川牧場 |
黒岩陽一(美浦) | クロフネ | 58kg | 阿部東亜子 | |||
8 | 15 | ユニコーンライオン | No Nay Never | 牡6 | 坂井瑠星 | Desert Star Phoenix Jvc |
矢作芳人 (栗東) | High Chaparral | 58kg | ライオンレースホース | |||
8 | 16 | モズベッロ | ディープブリランテ | 牡7 | 角田大和 | 村田牧場 |
森田直行 (栗東) | Harlan’s Holiday | 58kg | キャピタル・システム | |||
8 | 17 | ドゥラエレーデ | ドゥラメンテ | 牡3 | 幸英明 | ノーザンファーム |
池添学(栗東) | オルフェーヴル | 53kg | スリーエイチレーシング |
勝ち馬予想に役立つ!宝塚記念の注目馬分析
イクノイックス
キタサンブラック | ブラックタイド | サンデーサイレンス |
ウインドインハーヘア | ||
シュガーハート | サクラバクシンオー | |
オトメゴコロ | ||
シャトーブランシュ | キングヘイロー | ダンシングブレーヴ |
グッバイヘイロー | ||
ブランシェリー | トニービン | |
メゾンブランシュ |
イクノイックスは昨年の天皇賞秋、有馬記念、今年のドバイシーマクラシックとGⅠ3連勝中。これまで7戦5勝2着2回と馬券を外したことは無く、昨年春の牡馬クラシックでも皐月賞は優勝馬と0.1秒差2着、ダービーでは首差2着と能力は一級品です。
イクイノックスの父は中長距離GⅠ7勝のキタサンブラック。キングヘイロー産駒の母シャトーブラッシュはマーメイドステークス勝ちがある4勝馬。イクイノクスの半兄でキングカメハメハ産駒のヴァイスメテオールがラジオNIKKEI賞を制しています。
血統内にリファールと5×5×4、ヘイローの4×4の濃いクロスを持つ中距離配合。母系にスタミナを補うトニービンが入っているものの適距離は1800~2200m辺り。完成は古馬になってからの馬。
末脚が武器の馬ですが、前走ドバイシーマクラシックでは世界の強豪相手に逃げてレースレコードの大楽勝。現在レーティングは129ポンドで世界ランク1位。前走から3ヵ月空いているので休養は十分。皐月賞や天皇賞秋の成績からもポン掛けが利きます。
ただし、7戦全て良馬場。雨季に開催される宝塚記念は例年馬場が荒れるため、跳びが綺麗なイクノイックスに不利に働く可能性が。良馬場なら本命。
ジャスティンパレス
ディープインパクト | サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | ||
ウインドインハーヘア | Alzao | |
Burghclere | ||
パレスルーマー | Royal Anthem | Theatrical |
In Neon | ||
Whisperifyoudare | Red Ransom | |
Stellar Affair |
ジャスティンパレスは今年の天皇賞春の優勝馬。これまで10戦5勝2着1回3着1回。重賞は他に神戸新聞杯・阪神大賞典勝ちがあり、ホープフルSで2着、菊花賞でも3着しています。
ジャスティンパレスの父はディープインパクト。母パレスルーマーは米国産で海外5勝。母の父ロイヤルアンセムは芝中長距離GⅠ3勝。ジャスティンパレスの半兄でオルフェーヴル産駒のアイアンバローズはステイヤーズS、阪神大賞典で2着。血統的にステイヤー。
宝塚記念は過去10年で天皇賞春からの出走馬が4勝を挙げています。また阪神内回り3戦2勝3着1回と馬券を外していません。また血統的にステイヤーらしく、阪神大賞典・天皇賞春と2戦連続で上りメンバー中上り最速。馬体も菊花賞勝ちから20kg増え、地力強化はめざましいモノがります。
さらにある程度前で競馬ができるのは強み。2000~2200mも5戦3勝2着1回なので、前走より距離短縮も問題ありません。連下で。
ヴェラアズール
エイシンフラッシュ | キングズベスト | Kingmambo |
Allegretta | ||
ムーンレディ | プラティニ | |
Midnight Fever | ||
ヴェラブランカ | クロフネ | フレンチデピュティ |
ブルーアヴェニュー | ||
アドマイヤサンデー | サンデーサイレンス | |
ムーンインディゴ |
ヴェラアズールは昨年のジャパンカップの優勝馬。これまで24戦6勝2着4回3着5回。芝転向後は6戦連続でメンバー中上り最速をマークし、京都大賞典、ジャパンカップを連勝。ただし有馬記念と前走ドバイワールドカップでは自慢の末脚は不発、2桁着順に沈んでいます。
ヴェラアズールの父はダービーと天皇賞秋を制したエイシンフラッシュ。クロフネ産駒の母ヴェラブランカはダートマイルの2勝馬。母の半姉にオークス馬のトールポピー、半妹に秋華賞馬のアヴェンチュラがいます。
ダート実績があるため前走ダート2000mのドバイワールドカップに出走していますが、芝馬として本格化した現在では強豪相手に歯が立たず13着敗退。そこから3ヵ月空いているので無視して良いでしょう。
ただし、これまで芝で馬券になっているのは24~2600m戦で、2200mは初。58kgを背負うのも初。阪神芝は2戦2勝も、共にゴール前直線が長い外回り。末脚勝負の馬なのでゴール前直線が長い方が良く、短い中山では勝ち切れていません、
また過去10年で6歳馬の優勝は無く2着4回が最高とデータ的に勝ち切るまではどうか。抑えまで。
アスクビクターモア
ディープインパクト | サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | ||
ウインドインハーヘア | Alzao | |
Burghclere | ||
カルティカ | Rainbow Quest | Blushing Groom |
I Will Follow | ||
Cayman Sunset | Night Shift | |
Robinia |
アスクビクターモアは昨年の菊花賞馬。これまで11戦4勝2着1回3着3回。重賞は他に弥生賞勝ちがあり、ダービーで3着、セントライト記念で2着。今年は日経賞と天皇書春に出走も9着、11着と惨敗。共に優勝馬から2秒近く離されています。
アスクビクターモアの父はディープインパクト。母カルティカは英国産の1勝馬。アスクビクターモアでデインヒルダンサー産駒の半兄ケマーが欧州スプリントGⅠを2勝。
阪神開催で内回り菊花賞を勝っており、阪神内回りとコース形態が似た中山2000~2200mで5戦3勝2着1回。今回は強力な同型馬はディープボンドくらいです。2番手先行で持ち味が生きるアスクビクターモアですが、ここ2戦は苦手な不良、稍重の馬場で行き脚が付かず自分のレースが出来ていません。
そのためら雨季に行われる宝塚記念は例年馬場が荒れやすく、滑ったり脚を取られたりする馬場が苦手なディープインパクト産駒のアスクビクターモアにとって不利に働きます。良馬場条件で連下。それ以外なら切り。
ジェラルディーナ
モーリス | スクリーンヒーロー | グラスワンダー |
ランニングヒロイン | ||
メジロフランシス | カーネギー | |
メジロモントレー | ||
ジェンティルドンナ | ディープインパクト | サンデーサイレンス |
ウインドインハーヘア | ||
ドナブリーニ | Bertolini | |
Cal Norma’s Lady |
ジェラルディーナは昨年のエリザベス女王杯の優勝馬で、これまで19戦6勝2着2回3着3回。重賞は他にオールカマー勝ちがあり、昨年の有馬記念でも3着。前走4月開催の香港国際GⅠクイーンエリザベス2世カップでは2番人気も6着に敗れています。
ジェラルディーナの父はモーリス。ディープインパクト産駒の母ジェンティルドンナは牝馬三冠を含むGⅠ7勝の顕彰馬。父も母も海外GⅠ勝ちがあり、G1計13勝の血を持つ良血馬。血統内にサンデーサイレンスの奇跡の血量4×3を持ちます。
2500mの有馬記念3着の成績を見れば、父より母の影響力が強い馬。阪神開催で重だったエリザベス女王杯を後方一気で圧勝からも、同じコースで開催し例年馬場が荒れる宝塚記念は適鞍か。また宝塚記念では過去10年で牝馬が4勝を挙げています。データ的に切る要素は無く、連下で。
ダノンザキッド
ジャスタウェイ | ハーツクライ | サンデーサイレンス |
アイリッシュダンス | ||
シビル | Wild Again | |
シャロン | ||
エピックラヴ | Dansili | デインヒル |
Hasili | ||
Leopard Hunt | Diesis | |
Alcando |
ダノンザキッドは2020年のホープフルSの優勝馬。これまで16戦3勝2着2回3着5回。ホープフルS以降勝鞍はありませんが、重賞13戦して馬券になること7回、中4回がGⅠです。
ダノンザキッドの父はジャスタウェイ。母エピクラヴはアイルランド産でフランス芝1800mGⅢの勝ち馬で、芝2000mGⅠサンタラリ賞でも2着。ダノンザキッドの半兄でディープブリランテ産駒のミッキーブリランテは阪急杯2着の実績。
皐月賞以降はマイル路線に舵を取り、走破距離は1600~2000mに集中。父も母も適距離がこの範囲。芝2000mは香港カップ2着、大阪杯3着、クイーンエリザイベス2世カップ5着とGⅠでも馬券になっています。
ただし今回の宝塚記念は2200mでこの距離は初。能力的にこなせても、この中から中長距離のスペシャリストが集う本レースでは一枚落ちは否めません。見送り。
ジオグリフ
ドレフォン | Gio Ponti | Tale of the Cat |
Chipeta Springs | ||
Eltimaas | Ghostzapper | |
Najecam | ||
アロマティコ | キングカメハメハ | Kingmambo |
マンファス | ||
ナスカ | サンデーサイレンス | |
アンデスレディー |
ジオグリフは昨年の皐月賞馬。これまで10戦3勝2着1回。重賞は他に札幌2歳S勝ち、共同通信杯で2着。皐月賞後はダービーを含めGⅠを5戦していますが、いずれも馬券になっていません。
ジオクリフの父は米国短距離GⅠ3勝のドレフォン。キングカメハメハ産駒の母アロマティコは重賞勝ちこそ無いものの、秋華賞とエリザベス女王杯で3着し全6勝。近親に地方重賞3勝のアンデスクィーンがいます。
父ドレフォンはジオグリフの世代がファーストクロップで、新種牡馬リーディング1位を獲得していますが、古馬になってからOPクラス以上を勝った馬は現状1頭のみ。基本的に早熟傾向か。
今年はドバイのサウジカップ、ドバイワールドカップとダート戦に参戦し4着、11着。距離を伸ばして成績が落ちています。基本的にマイラー体形で、体形が固まり距離の融通が利き難くなる古馬になった現状では2000m以下が敵鞍と考えられ、2200mは明らかに不利。見送り。
ディープボンド
キズナ | ディープインパクト | サンデーサイレンス |
ウインドインハーヘア | ||
キャットクイル | Storm Cat | |
Pacific Princess | ||
ゼフィランサス | キングヘイロー | ダンシングブレーヴ |
グッバイヘイロー | ||
モガミヒメ | カコイーシーズ | |
モガミポイント |
ディープボンドはれまで22戦5勝2着5回3着1回。2200m以上のGⅡを4勝、春の天皇賞は3年連続2着、2021年の有馬記念でも2着している実力馬。昨年の宝塚記念でも4着しています。
ディープボンドの父はキズナ。母ゼフィランサスは短距離からマイルを3勝の条件馬。近親に高松宮記念とスプリンターズSを勝ったローレルゲレイロ。母の父が短距離馬を多く出すキングヘイローなので、ディープボンド距離適性は父のキズナから。
スタミナが豊富で先行してバテないのでディープボンドの持ち味。昨年の凱旋門賞の疲れから有馬記念、3連覇を狙った阪神大賞典でも5着と今一つの成績も、前走の天皇賞春では優勝馬ジャスティンパレスの末脚に屈し0.4秒離されたものの2着を確保。年齢による力落ちはありません。
また重の阪神大賞典を制しており、ある程度馬場が荒れても対応できるスタミナがあります。
昨年の宝塚記念ではハイペースで逃げるパンタラッサを2番手で追走したタイトルホルダーをマークする形でレースを進めるも、最後はタイトルホルダーに突き放される結果に。ディープボンド自身はバテていませんが、2、3着した後続馬のヒシイグナス、デアリングタクトに切れ負けした格好。
そのため上り勝負になった場合は分が悪く、2戦2敗で切れ負けしたジャスティンパレスに距離適性からも先着できるかは疑問。また宝塚記念では過去10年で6歳馬の優勝は無く2着4回が最高。抑えまで。
ドゥラエレーデ
ドゥラメンテ | キングカメハメハ | Kingmambo |
マンファス | ||
アドマイヤグルーヴ | サンデーサイレンス | |
エアグルーヴ | ||
マルケッサ | オルフェーヴル | ステイゴールド |
オリエンタルアート | ||
マルペンサ | Orpen | |
Marsella |
ドゥラエレーデは昨年のホープフルSの優勝馬。これまで6戦2勝2着2回。前走はドバイのダート1900mGⅡUAEダービーで2着に入り、14番人気だったホープフルS勝ちがフロックで無いことを証明しています。
ドゥラエレーデの父はクラシック春二冠のドゥラメンテ。オルフェーヴル産駒の母マルケッサは未勝利馬。祖母マルペンサはアルゼンチンでGⅠ3勝。母の半兄はディープインパクト産駒で菊花賞。有馬記念を制し2016年度最優秀3歳馬に輝いたサトノダイヤモンド。
血統的にパワーとスタミナが豊富で宝塚記念の舞台は問題ありません。斤量53kgなので他馬より軽いものの、馬体自体が完成しておらず有利とはいえません。
また宝塚記念に3歳馬が出走すること自体稀ですが、過去20年ではクラシック春2冠のネオユニヴァースでさえ4着が最高。他は5着が1回あるのみ。GⅠ馬が他に7頭も揃う今回の宝塚記念でペースが厳しく、2歳GⅠ馬とはいえ苦戦が予想されます。見送り。
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