天皇賞(春)の特徴
2021年のG1天皇賞(春)は第2回阪神開催12日目に4歳以上芝3200mの馬齢定量戦で行われます。本来なら京都競馬場で開催されますが、改修工事のため阪神競馬場で代替開催されます。負担重量は牡・騙馬58kg、牝馬56kg。
国際競走に指定され外国調教馬は9頭まで優先出走権が与えられます。また地方所属馬は天皇賞(春)に優先出走権を得た馬のみ出走可能です。
なお阪神大賞典及び日経賞で1着になった馬、レーティング上位5位以内に優先出走権が与えられています。それ以外のJRA所属馬は通算獲得賞金+過去1年内の獲得本賞金+過去2年内のG1・Jpn1での獲得本本賞金の総計で高い順に出走が可能です。
天皇賞(春)に優勝した馬は同年豪州で開催されるメルボルンカップへの優先出走権が与えられます。
↓過去10年の天皇賞(春)入賞馬のデータを見たい方はこちら↓
2021年天皇賞(春)出走表
枠番 | 馬番 | 出走馬 | 父 | 馬齢 | 騎手 | 生産牧場 |
所属 | 母の父 | 斤量 | 馬主 | |||
1 | 1 | ワールドプレミア | ディープインパクト | 牡4 | 福永祐一 | ノーザンファーム |
友道康夫 (栗東) | Acatenango | 58kg | 大塚亮一 | |||
1 | 2 | アリストテレス | エピファネイア | 牡4 | C.ルメール | ノーザンファーム |
音無秀孝 (栗東) | ディープインパクト | 58kg | 近藤英子 | |||
2 | 3 | カレンブーケドール | ディープインパクト | 牝5 | 戸崎圭太 | 社台ファーム |
国枝栄 (美浦) | Scat Daddy | 56kg | 鈴木隆司 | |||
2 | 4 | シロニイ | キングカメハメハ | 牡7 | 松若風馬 | ノーザンファーム |
池江泰寿 (栗東) | サンデーサイレンス | 58kg | 金子真人H | |||
3 | 5 | ディアスティマ | ディープインパクト | 牡4 | 北村友一 | ノーザンファーム |
高野友和 (栗東) | ストリートセンス | 58kg | サンデーレーシング | |||
3 | 6 | マカヒキ | ディープインパクト | 牡8 | 藤岡康太 | ノーザンファーム |
友道康夫 (栗東) | フレンチデピュティ | 58kg | 金子真人H | |||
4 | 7 | ユーキャンスマイル | キングカメハメハ | 牡6 | 藤岡佑介 | ノーザンファーム |
友道康夫 (栗東) | ダンスインザダーク | 57kg | 金子真人H | |||
4 | 8 | ディバインフォース | ワークフォース | 牡5 | 武豊 | 追分ファーム |
寺島良 (栗東) | ゼンノロブロイ | 58kg | 吉田晴哉 | |||
5 | 9 | ジャコマル | ダノンシャンティ | 牡7 | 横山和生 | 新冠橋本牧場 |
松永幹夫 (栗東) | トニービン | 58kg | 晴間芳次 | |||
5 | 10 | ゴースト | ハーツクライ | 騙5 | 鮫島克駿 | ノーザンファーム |
橋口慎介 (栗東) | Cozzene | 58kg | 西村健 | |||
6 | 11 | メイショウテンゲン | ディープインパクト | 牡5 | 酒井学 | 三嶋牧場 |
池添兼雄 (栗東) | フレンチデピュティ | 56kg | 松本好雄 | |||
6 | 12 | ディープボンド | キズナ | 牡4 | 和田竜二 | 村田牧場 |
大久保龍 (栗東) | キングヘイロー | 58kg | 前田晋二 | |||
7 | 13 | ナムラドノヴァン | ディープブリランテ | 牡6 | 内田博幸 | いとう牧場 |
杉山晴紀 (栗東) | Kingmambo | 58kg | 奈村信重 | |||
7 | 14 | ウインマリリン | スクリーンヒーロー | 牝4 | 横山武史 | コスモヴューファーム |
手塚貴久 (美浦) | Fusaichi Pegasus | 56kg | ウイン | |||
8 | 15 | オセアグレイト | オルフェーヴル | 牡5 | 横山典弘 | IHR |
菊川正達 (美浦) | Bahri | 58kg | 下屋敷牧場 | |||
8 | 16 | メロディーレーン | オルフェーヴル | 牝5 | 池添謙一 | 岡田スタッド |
森田直行 (栗東) | Motivator | 58kg | 岡田牧雄 | |||
8 | 17 | オーソリティ | オルフェーヴル | 牡4 | 川田将雅 | ノーザンファーム |
木村哲也 (美浦) | シンボリクリスエス | 58kg | シルクレーシング |
勝ち馬予想に役立つ!天皇賞(春)の注目馬分析
ワールドプレミア
ディープインパクト | サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | ||
ウインドインハーヘア | Alzao | |
Burghclere | ||
マンデラ | Acatenango | Surumu |
Aggravate | ||
Mandellicht | Be My Guest | |
Mandelauge |
ワールドプレミアは2019年の菊花賞馬。これまで10戦3勝2着1回3着4回。重賞勝ちは菊花賞のみですが、掲示板を外したのは1年ぶりでのぶっつけで臨んだ昨年のジャパンカップの6着のみ。
ワールドプレミアの父はディープインパクト。母マンデラはドイツで重賞2勝。ワールドプレミアの全兄に皐月賞2着、ダービーで1番人気だったワールドエース、半弟にドリームジャーニー産駒でダービー3着だったヴェルトライゼンデがいます。
前走日経賞では2番人気で、優勝馬ウインマリリンに0.1秒差の3着。先着を許したウインマリリン、カレンブードールとはハンデ差があるため。馬齢定量で換算すればワールドプレミアが0.1秒差で勝ち。上がりもメンバー中最速なので負けて強しの内容。
今回は実績のある長距離戦。日経賞からの天皇賞春は馬券になる馬のローテーション。他にG1馬は8歳のマカヒキしかおらず、実績は最上位。特にマイナスになる要素も無く勝ち負け。
アリストテレス
エピファネイア | シンボリクリスエス | Kris S. |
Tee Kay | ||
シーザリオ | スペシャルウィーク | |
キロフプリミエール | ||
ブルーダイヤモン | ディープインパクト | サンデーサイレンス |
ウインドインハーヘア | ||
グレースアドマイヤ | トニービン | |
バレークイーン |
アリストテレスは昨年の菊花賞の2着馬。菊花賞では三冠馬のコントレイルと首差。3着だったサトノフラッグは0.6秒引き離しているので長距離適性が高いことが分かります。2走前に中山芝2200mG2AJCCを優勝し重賞ウィナーの仲間入りをしています。
アリストテレスの父はエピファネイア。母ブルーダイヤモンドはディープインパクト産駒の未勝利馬も、半兄に皐月賞馬でブライアンズタイム産駒のヴィクトリー、サンデーサイレンス産駒でG2を3勝しG1で2着2回のリンカーンがいます。
アリストテレスは血統内にサンデーサイレンスの4×3、サドラーズウェルズの4×4の濃いクロス、ヘイルトゥリーズンの5×5のクロスを持っており、さらに母系に入るとスタミナを強化するトニービンも持っています。父も菊花賞馬でスタミナは豊富。
前走阪神大賞典では1番人気も、優勝馬ディープボンドに2.2秒離され7着。テンで掛かってしまい、さらに当日重馬場だったため前半にスタミナを浪費。とは言っても2.2秒差はさすがに負けすぎ。父エピファネイアも気性が荒かったため、1か月で立て直せるかがカギ。
また菊花賞でコントレイルと首差も、三冠馬のコントレイルがその後ジャパンカップ、大阪杯で2着、3着だったことを考えると、ディープインパクトやオルフェーヴルといった歴代の三冠馬と実力で拮抗しているかと言われれば現時点では疑問。弱い世代の三冠馬と言えなくもありません。連下で。
カレンブーケドール
ディープインパクト | サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | ||
ウインドインハーヘア | Alzao | |
Burghclere | ||
ソラリア | Scat Daddy | ヨハネスブルグ |
Love Style | ||
So Linda | Seeker’s Reward | |
So Posh |
カレンブーケドールはこれまで12戦2勝2着7回3着2回。これまで重賞勝ちはありませんが、G1のオークス、秋華賞、ジャパンカップで2着、G2京都記念とオールカマーでも2着。前走日経賞でも2着している牝馬のシルバーコレクター。安定度ではピカイチ。
カレンブーケドールの父はディープインパクト。母ソラリアはアルゼンチン産で、同国G1を3勝した活躍馬。母の父はフロリダダービー馬スキャットダディで、史上13頭目の米クラッシク三冠を制覇したジャスティファイを送り出しています。
父がディープインパクトなので距離の融通は利きますが、母系は基本的に中距離血統で固められています。前走で2500mをこなしていますが、本質的に長距離はマイナス。
また天皇賞春で牝馬が馬券になったのは、過去10年はおろか1955年のセカイイチの2着まで遡らなくてはなりません。さらに前走より2kg重い斤量を背負うのは不利。今回は前走首差交わしたワールドプレミアから0.3秒離される計算。今回は見送り。
ディープボンド
キズナ | ディープインパクト | サンデーサイレンス |
ウインドインハーヘア | ||
キャットクイル | Storm Cat | |
Pacific Princess | ||
ゼフィランサス | キングヘイロー | ダンシングブレーヴ |
グッバイヘイロー | ||
モガミヒメ | カコイーシーズ | |
モガミポイント |
ディープボンドは前走で天皇賞春と関連が深い阪神大賞典を優勝。これまで11戦3勝2着1回3着1回で、3歳時に京都新聞杯を優勝しています。クラッシック三冠レース全てに参戦し、ダービー5着、菊花賞で4着しています。
ディープボンドの父はキズナ。母ゼフィランサスは短距離からマイルを3勝の条件馬。近親に高松宮記念とスプリングステークスを勝ったローレルゲレイロがいます。母の父が短距離馬を多く出すキングヘイローなので、ディープボンド距離適性は父のキズナから。
菊花賞4着も父キズナ自身長距離重賞は天皇賞春のみで4着と必ずしも得意ではなく、母系もせいぜい2400mまで。菊花賞で4着に来たのは勝負根性があるヘイローの4×4の濃いクロスの影響。血統上では長距離重賞向きではありません。
ただし、主戦の和田竜二曰く「スタミナはある」らしく、恐らく父系にあるダマスカスの血の影響か。キズナの母の半姉でダマスカスの血を持つパシフィカスから菊花賞馬のビワハヤヒデとナリタブライアンが出ています。
前走の阪神大賞典では重馬場の中、2着に0.9秒差を付ける圧勝。道悪でもへこたれないのはヘイローの気の強さか。また皐月賞10着→京都新聞杯優勝→ダービー5着と3歳馬では厳しいローテーションで結果を出しています。
切れる脚が無いので早めスパートが理想。今回の天皇賞春では2週目が内回りなのでゴール前直線が短く、先行して早めスパートする本馬には有利。対抗。
オーソリティ
オルフェーヴル | ステイゴールド | サンデーサイレンス |
ゴールデンサッシュ | ||
オリエンタルアート | メジロマックイーン | |
エレクトロアート | ||
ロザリンド | シンボリクエスエス | Kris S. |
Tee Kay | ||
シーザリオ | スペシャルウィーク | |
Kirov Premiere |
オーソリティは3歳時に青葉賞とアルゼンチン共和国杯を優勝。これまで8戦4勝2着1回3着1回。当初から青葉賞からダービーが既定路線でしたが、青葉賞優勝後に骨折しダービーを棒に振っています。
オーソリティの父はオルフェーヴル。シンボリクリスエス産駒の母ロザリンドは未勝利も、母の全兄はエピファネイア。祖母は日米オークス馬のシーザリオ、近親にG1馬のリオンディーズ、サートゥルナーリアがいる良血。
血統内にサンデーサイレンスの3×4の濃いクロス、ノーザンテーストの5×4のクロスを持っています。父オルフェーヴルは三冠馬で天皇賞春は未勝利も、前哨戦の阪神大賞典で狂気の走りで2着しスタミナも豊富。母の父シンボリクリスエスは長距離馬を数多く輩出しています。
前走ダイヤモンドステークスでは1番人気、優勝馬にタイム差無しの首差2着。オーソリティは明け4歳ながらG2を2勝し56kgと実質のトップハンデ。優勝馬はオーソリティより2kgも軽く、実際なら0.4秒差を付けて優勝している計算。2着以下は0.9秒引き離しています。
血統から考えれば能力は人気のアリストテレスやディープボンドより上。ただしダイヤモンドステークスからの出走は過去10年で2着が最高。強い相手とは有馬記念で対戦していますが14着に敗退しています。父系が晩成型なのでれから活躍が期待されますが、現時点では連下。
ユーキャンスマイル
キングカメハメハ | Kingmambo | Mr.Prospector |
Miesque | ||
マンファス | ラストタイクーン | |
Pilot Bird | ||
ムードインディゴ | ダンスインザダーク | サンデーサイレンス |
ダンシングキイ | ||
リープフォージョイ | Sharpo | |
Humble Pie |
ユーキャンスマイルは昨年の阪神大賞典の優勝馬で、今年も2着。これまで20戦6勝2着4回3着1回。天皇賞春は2年連続で出走し5着、4着と掲示板に載っています。また長距離重賞のダイヤモンドステークス勝ちがあり、菊花賞でも3着しているステイヤー。
ユーキャンスマイルの父はキングカメハメハ。ダンスインザダーク産駒の母ムーンインディゴは府中牝馬ステークスの優勝馬で秋華賞とローズステークスでも2着。ユーキャンスマイルの馬体はすらっとしており、菊花賞馬のダンスインザダークの血が色濃い馬。
昨年の天皇賞春後に休養し、休養後秋3戦は本来の力が出せずに惨敗。短期休養明けの阪神大賞典で2着を確保しているようにやはり長距離戦は得意。前走はメンバー中上り最速。優勝馬ディープボンドには0.9秒離されましたが、追い込み馬なので展開が不利。
今回は実績のある阪神競馬場に変わり、本馬には有利。しかし天皇賞春で6歳以上の優勝は過去10年で1回と厳しい印象。ただし2着は5回あるので連下が妥当か。
ウインマリリン
スクリーンヒーロー | グラスワンダー | Silver Hawk |
Ameriflora | ||
ランニングヒロイン | サンデーサイレンス | |
ダイナアクトレス | ||
コスモチェーロ | Fusaichi Pegasus | Mr. Prospector |
Angel Fever | ||
Shorwon | Buena Shore | |
April Wonder |
ウインマリリンは前走日経賞を優勝。3歳時にフローラステーク勝ちがあり、オークスでは後の牝馬三冠馬のデアリングタクトに0.1秒差の2着。昨年のエリザベス女王杯では同世代最先着の4着と、現4歳世代ではトップクラスの実力の持ち主。
ウインマリリンの父はスクリーンヒーロー。母コスモチェーロは1勝馬。ウインマリリンの半兄にマツリダゴッホ産駒のウインマーレライがラジオNIKKEI賞を優勝しています。血統内にダンジグの4×4の濃いクロスを持っており、本来はスピードタイプ。
前走の日経賞の勝ち時計2分33秒3はこのレースでは平均ペース。逃げ馬は5着に入っており、ウインマリリンを含め上位馬はほとんど先行馬で息の入りやすいスローペース、中距離馬のウインマリリンでも息を入れやすかった可能性が大。
今回は前走より3kg重いハンデを背負います。計算上では2着だったカレンブーケドールに0.1秒差、3着だったワールドプレミアに0.3秒差で逆転されます。また今回はディープボンドがスタミナに任せたレースをする可能性が大。息を入れにくい展開では本馬には不利。
天皇賞春で牝馬は長らく馬券になっていないので今回は見送り。
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